『BRIGHT MOMENTS』(マルクマ本店)
■“生の三原色” で作られた『BRIGHT MOMENTS』
「『BRIGHT MOMENTS』の4つの要素を色で表すと、空と水は青。肌は肌色。岩は、もとはマグマが噴火してできたものだから赤。色の要素としては青と赤と肌色の3つ」(熊谷)
製作の途中、熊谷は偶然ルドルフ・シュタイナーの色彩論を知り、作品のインスピレーションを得たという。シュタイナーは19世紀末から20世紀初頭にかけてドイツやオーストリアで活動した哲学者で、「シュタイナー教育」を打ち立てた教育者として、あるいは、神秘思想家としても広く知られている。
色についての考察のなかで、一般に知られているのはニュートンの『光学』だ。ニュートンはプリズムを使い、光が波長の違いによる屈折率の差によって7色に分解されることを科学的に証明した。一方で、シュタイナーは、色が人に与える心理的側面、感覚としての色彩が人の心に呼び起こす感情の問題に焦点を当てた、ゲーテの色彩論の側に立った研究者だった。