ブラックホールの中心にはワームホールがあり通り抜けて向こうの世界に行ける
アメリカの物理学者ジョン・ホイーラーが「ブラックホール」と名付けてから来年で50年になる。ブラックホールは、極めて高密度で大質量、そして超強力な重力を持ち、光さえもその重力によってそこから抜け出せないために、直接観察することもできず、宇宙空間にぽっかりと空いた黒い穴のように見えることからその名を付けられたともいわれているが、いまだに謎だらけの天体である。
■ブラックホールの中心点とワームホールを発見
このブラックホールは、その超強力な重力のために、近づくものを吸い込み、吸い込まれたものは永遠に失われてしまうと一般的に考えられているが、最新の研究によってブラックホールの中心にはワームホールがあり、吸い込まれたものは宇宙の別の空間に吐き出される可能性もあるとの見解が浮上している。
イギリスの「Daily Mail」紙と科学系オンラインジャーナルの「Unexplained Mysteries」のレポートによれば、バレンシア(スペイン)の粒子物理学研究所の研究チームは、ブラックホールの特異点における時空の幾何学的構造の不完全性を考慮した新説を発表したとのことである。
ブラックホールの中心である特異点は、原子1つよりも小さい点と考えられており、一般的にはブラックホールに近づくものは、スパゲッティ現象化(※)もしくは究極に引き伸ばされた状態となり、なんであれその巨大な重力によって特異点に吸い寄せられ、物理的にも数学的にも計算不能な失われた状態に陥ると考えられている。
(※)スパゲッティ現象とは、ブラックホールの重力があまりにも強大なために、例えば人間の身体の足の部分がブラックホールの中心に近い位置にあった場合に、足と頭との距離の差により、重力の不均衡が発生し、中心に近い足の方に頭より強い力がかかり引っ張られるために、生パスタを引き伸ばすように足の方から引き伸ばされて吸い込まれていく現象。
研究チームは、この新説を検証するために通常のブラックホールの研究ではあまり見られないグラフェン(原子1個分の厚みの炭素結合シート)を使用し、ブラックホールの内部構造をシミュレーションすることで、特異点の幾何学的構造の不完全性を導きだした。そしてブラックホールのジオメトリを分析することよって、ブラックホールの中心に小さな球状の中心点とワームホールを発見したとのことである。
■入口で引き伸ばされ出口で元に戻る!?
この発見によって、理論的に帯電ブラックホールの解釈に残されたいくつかの問題点を解決することも可能になり、また、ブラックホールの中心がワームホールという扉であるならば、時間と空間の連続性についても解決できるようになるとのことである。研究チームの一員であるバレンシア大学のゴンザーロ・オルモ氏は、「ブラックホールは重力についての新しいアイデアを試すための理論実験室であり、観察された事実と理論から可能なすべてのオプションを検討した結果である」と発言している。
人間がブラックホールを通過して生きていけるとは想像もできないが、ブラックホールに引き込まれる際に限りなく引き伸ばされた物質は、ワームホールの出口では元の大きさに戻って吐き出されるということらしい。
すでに、普通の物理をはるかに超えた奇想天外な理論に聞こえるが、オルモ氏によれば、この新説はアインシュタインの理論においてのエキゾチック物質(負の質量を持つ物質)を導入する必要もなく、電界のように一般的な物質とエネルギーですべて説明がつく理論であるという。
SF映画では、「吸い込まれたらすべて終わり」のようなブラックホールがさまざまに描かれてきたが、もしかしたら本当のブラックホールの姿が明らかになる日も近いのかもしれない。
(文=高夏五道)
参考:「Daily Mail」、「Unexplained Mysteries」ほか
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