スリップノット・クラウンと行く樹海旅——世界的ヘヴィメタバンドのリーダーが見つけた“白い紙”の謎とは…?
富士風穴は写真映えするスポットなので、腰をすえて写真撮影をする。相変わらず雨がザーザー降っているので、カメラマンさんも必死の表情だ。ただ、ピエロマスクは、晴天の樹海より、雨の樹海のほうが似合っている気がした。
クラウンさんが白い紙のような物を見つけ、「これはなんだい、センセー?」と聞いてきた。
「誰かが捨てた雑誌か何かですかね?」と答える。
クラウンさんは、なぜか興味を持ったらしく、棒で紙を持ち上げる。すると……糞が出てきた。野糞の跡であった。ガッカリするクラウンさん。ゲラゲラと笑いが起きた。
撮影が終わった後、スタッフさんがやってきて、「クラウンさんが樹海の中を歩きたいと言っているのですが、大丈夫でしょうか?」と言ってきた。
「別にいいっすよ」と言って、カバンから方位磁石を取り出すと、不安に満ち満ちた顔で、「樹海って方位磁石使えないんじゃないですか……?」と聞かれる。
「都市伝説ですよ」と言ったら、うなずいていたが、そのスタッフさんは明らかに信じていない目をしていた。
普段は、自殺死体が見つかるといいな〜と思って歩いているので、自殺しようとする人が進むであろう場所を推測して樹海に入るが、今回はただ樹海の中を歩きたいだけなので、 富士樹海からとにかく西に歩いて行く。
クラウンさんは、樹海の中を歩くにはかなり大柄である。樹海は腐った倒木が多いので、体重が重たいと踏み抜いてしまうのだ。ここでもしケガとかしちゃったら、全世界にニュース配信されるんだろうな〜とか、考えた。
樹海の中で、クラウンさんが気に入った場所があったら、撮影しつつ進んでいく。
一時間ほど進んだ所で、「そろそろ引き返しませんか?」と、スタッフさんたちに暗い顔で言われる。
スタッフ全員の顔が緊張でガチガチにこわばっている。疲労も出てきたらしい。どうやらみんな樹海で迷子になっていると思っているようだ。
今度は来たのと逆に、東に東に進んでいく。振り向くと、みんな葬式の列みたいに大人しく、だま〜ってついてきている。しばらく進んでいくと、予定通り、スタートした場所に到着して、みんなやっと表情に明るさが戻ってきた。
ノリノリだったクラウンさんまで、「センセーが不審な動きをしたから、もう出られないかと思ったよ」と言っていた。失礼しちゃうわねっ。
最後は皆で、富士山本宮浅間大社に向かう。「最後は、何かあってはまずいですので、お祓いができる場所もセッティングしてください」と頼まれていたのだ。
僕は、霊も、神も、仏も何も信じていないので、もちろんお祓いはしたことがないが、神社や日本神話は好きなので、富士山本宮浅間大社は知っていた。
バスの中で、日本人スタッフが「会社の社長が、絶対に霊を連れてくるなってうるさいんですよ〜」と言っている。樹海での自殺者がいくら多いと言ったって、実際人が死んだ数は、都内の大手病院のほうがずっと多いだろう。その論理で言うと、病院に行くたびに、神社に行って祓ってもらわなければならない。
途中、「富士山本宮浅間大社の祭神は、コノハナサクヤヒメなんですよ〜」と振ってみると、「なんすかその名前。ツボるwww」と言われた。
アマテラスオオミカミの孫の嫁、神武天皇のひいおばあさん、とかなり大物の神様なんだけども……ツボられてしまったか。そもそも祭神も知らないのに、お祓いが効くのかなあ? というか、クラウンさんってキリスト教じゃないの? 効くの? なんて思ったけど、まあ気は心なのか。
全員で、富士山本宮浅間大社の社の中に入り、巫女に説明を受けた後、神主にさんに「はらいたまえ〜 きよめたまえ〜」とお祓いを受けた。
“猟奇趣味的激烈音楽集団”スリップノットの案内を無事に終えて帰宅すると、新たにメールが来ていた。大阪のテレビ局からで、ジャニーズのタレントさんを樹海に案内することになった。
まだまだ、樹海シェルパの仕事は続きそうである。
(文・写真/村田らむ)
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