「セックス後の憂鬱」はなぜ起こるのか!? 愚者タイム「ポスト・コイタル・ディスフォリア(PCD)」の存在が判明!
男性諸氏ならば誰もが経験していることとして、射精後にブルーになる瞬間がある。俗に「賢者タイム」と呼ばれたりもするが――。
■セックス後の憂鬱、PCDとは?
射精が終わった瞬間から大脳にオキトシンやセロトニンなどが分泌され、性欲萎縮状態に陥り瞬間的な気分の落ち込みや眠気が襲ってくる。近ごろは、これは女性にも広く認知されつつある現象であり、生理学的にも解明されていることだが、今回の「セックス後の憂鬱」は、これとは別の話である。
医療系オンラインジャーナル「Medical Daily」にレポートされている「セックス後の憂鬱」は、男性よりも女性が陥りやすい情緒不安定状態のことであり、ポスト・コイタル・ディスフォリア(PCD)と呼ばれる症状を指している。
セックスにおけるオーガズムは、動物としての人間が脳で感じられる最もハイな感覚のひとつであるが、そのハイな状態の直後から、悲しみや不安、抑鬱感や孤独感にさいなまれ、メランコリックになったり、時には攻撃的なったりする症状がある。日本語としては性交後の情緒不安定とも呼ばれる症状であるが、これはパートナーとの愛情や絆の深さに関係なく起こる症状で、調査によると約半数の女性が経験しているという。
今回、この症状についてオーストラリアのクイーンズランド工科大学の調査チームがまとめた研究発表によると、この症状は女性にとどまらず男性にもおこりうる精神症状のひとつということである。
生理的、精神的、いずれの両側面からも、このPCDが引き起こされる原因の確定こそはされていないが、調査チームを引率するロバート・シュバイツァー教授によれば「男性、女性ともに性交後の情緒不安定に陥るケースが少なくはないという事例証拠が多くある」とのこと。
■セックス後の直後に自己を喪失する?
人間関係学を専門とするエイプリル・マシーニ氏によれば、性交後の憂鬱は、その男女間の関係が、もうこれ以上先に進むことのないとの認識により引き起こされている可能性を示唆している。
同時に、精神生理学と神経科学を専門としているニコル・プラウズ氏は、この憂鬱はオーガズムと男性ホルモン・テストステロンの欠如によって引き起こされるもので、時としてセックス後の男女間のコミュニケーションがこの憂鬱を招く引き金になる可能性もあるとしている。テストステロン値が高く、セックス中にオーガズムに“きちんと達している”場合、このPCDに陥らないという調査結果もでているとしている。
シュバイツァー教授は、「いずれの説もいまだ原因の特定につながる決定的な証拠が見つけられていないが、PCDは少なからずセックス後の『自己喪失』に深く起因するものである」と見て、「男性、女性ともにさらなる調査研究が必要である」とし、そのための調査プロジェクトを組んで進めているとのことである。
また、この調査によると愛情の度合いやパートナー間の絆の深さに関係なく、すべての人が、セックス後の余韻を楽しみ、いちゃいちゃしたりハグしたりすることが好きであることは限らないということらしい。セックス後の行動がどうあるべきか、またどうしたら相手との関係を最良のものにしていけるかを考えるヒントとして、今後の調査結果に期待したい。
(文=高夏五道)
参考:「Medical Daily」、「Daily Mail」、ほか
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