故・羽田元首相は古代イスラエル「失われた10支族」の末裔だった! 学者から明治天皇まで支持… 「日ユ同祖論と秦氏」の真実

■秦氏=古代イスラエルの失われた10支族、その信憑性

 では、なぜ秦氏は古代イスラエルの失われた10支族の末裔で、原始キリスト教徒だったといわれるのだろうか。この説を最初に提唱したのは、明治時代の東洋宗教史家だった佐伯好郎博士だ。1908年発表の論文『太秦(禹豆麻佐)を論ず』で、「秦氏は景教を信仰するユダヤ人一族であった」とする説を唱えた。博士は、とりわけ景教の東伝史に関する研究で世界的に知られる人物である。

故・羽田元首相は古代イスラエル「失われた10支族」の末裔だった! 学者から明治天皇まで支持… 「日ユ同祖論と秦氏」の真実の画像57~8世紀頃の中国でのネストリウス派の祭礼
画像は「Wikipedia」より引用

 そもそも景教とは、唐代の中国におけるネストリウス派キリスト教の呼び名である。ヨーロッパでは5世紀の宗教会議(エフェソス公会議)で異端とされたが、その後はペルシャ帝国→中央アジア→モンゴル→中国へと伝わった。佐伯氏の主張によれば、景教はさらに日本へと伝わったが、それをもたらした一族こそが秦氏であるという。ただ晩年の彼は、「弓月の民(秦氏)は、大多数がユダヤ人改宗者であった原始キリスト教徒だったかもしれない」と自説を訂正している。

 いずれにしても、古代イスラエルの失われた10支族が日本に渡来し、神道や仏教にユダヤ教やキリスト教の要素を密かに取り入れたというのが「日ユ同祖論」で語られるところだが、残念ながら学問的に検討する価値のない「トンデモ説」レベルの分析も数多く存在するのが実情だ。結果、「日ユ同祖論」という言葉自体が、単純に「日本人とユダヤ人は同祖である」と間違って解釈されてしまった面も否めない(これはDNA検査など現代の科学技術を取り入れた研究で否定されている)。

 とはいえ、である。「日ユ同祖論」として語られる数々の主張に含まれる“トンデモ的要素”を抜きにしても、やはり秦氏に代表される一部の人々が古代イスラエルの失われた10支族の末裔であり、日本に渡来して同化した可能性は大いに残ると思われるのだ。秦氏は、自ら歴史の表舞台には立とうとせず、しかし日本の文化・信仰・工芸・芸能などに深く関与してきた。とりわけ信仰面では、ユダヤ教やキリスト教の教えや風習を密かに神道や仏教の風習に取り入れてきた節がある。しかも、それらは非常に巧妙になされてきたこともあり、気づくことは難しい。こうすることで秦氏は、自分たちの信仰を、他の土地で受けてきた迫害から守り、未来永劫残そうとしたのではないだろうか。


■神輿と「契約の箱(アーク)」の奇妙すぎる一致

 では、秦氏が神道の風習の中にユダヤ教やキリスト教の要素を密かに取り入れたと思しき例(両者の類似点)を見てみよう。たとえば、神社の祭で運ばれる神輿は、古代イスラエルにおける「契約の箱(アーク)」を模したものではないか。どちらも宗教的目的で、木製の箱を人々が担いで移動する点が共通している。旧約聖書では「契約の箱」の素材や寸法を厳格に規定しているが、それも日本の神輿に似通っている。

 前駐日イスラエル大使のエリヤフ・コーヘン氏は、初めて日本の祭りで神輿を見たときの衝撃を忘れられないと語る。コーヘン氏は現在、秦氏が失われた10支族の末裔だと考えるに至ったという。ユダヤ人の大富豪、かの有名なロスチャイルド家の先代も、来日して神輿を目の当たりにし、あまりにも「契約の箱」に似ているために関心を持っていたという。また、日本の祭では神輿の担ぎ手が「わっしょい」「えっさ」と掛け声をかけるが、コーヘン氏によると「エッサ」はヘブル語で「運ぶ」を意味する単語だという。

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