親愛感情を持つ相手に触れられると“痛みが軽減する”ことが判明! インターパーソナル・シンクロ研究とは?
「われ思う、ゆえにわれあり」、17世紀にデカルトが近代哲学への道を開いてから今日に至るまで、西洋文化は思考(精神)と存在(身体)の領域について問い続けているが、研究がより進むにつれてこの概念はやや時代遅れになりつつあるようである。
アメリカの現代思想家として有名なケン・ウィルバーは「心のあらゆる結び目に、対応しているのが身体なのだ」と心身の統合を唱え、近年の調査では恋人や夫婦などパートナーから受けるボディタッチが身体的な痛みを和らげるという結果が出てきているという。
■“インターパーソナル・シンクロ”とは
ボディサイコセラピーといえるこの研究は“インターパーソナル・シンクロ”とも呼ばれており、自分と密接に関係している人々との順応能力を高めるミラーニューロン(他の個体と自身が同調する、鏡のような反応をすること)の現象が生じるのではないかと注目されている。そしてわれわれが親しいパートナーに触れられたり見つめ合ったりしている時には、軽いボディタッチでも抱えている何かしらの痛みを軽減させることが可能であるというのだ。
実際に行われた調査では22組のカップルを対象とし、彼らがどのように心と身体を潜在意識下でシンクロしていくのかを確認した。
すると心拍数と呼吸のリズムが互いに近づいていくにつれ、痛みを感じるシグナルが正常化していったのである。また親愛感情を持つ相手と共にいるだけで、健康状態全般に良い影響を及ぼすことができるのだという。
互いに高い同調性を持ち、深い感情移入を伴うカップルにおいては、触れることによりさらに痛みを和らげる効果が見られる結果となり、調査を担当した研究者は「触れることによって心肺機能が同調していく効果は 、自律神経系を通じ鎮痛剤として作用する可能性もあり得る」とコメントしている。
■「抱擁(ハグ)はブーメランのようなもの」
また調査を進めると、性別を問わず親しい人間関係にある人同士のスキンシップでも同様の効果が得られる可能性も出てきているようである。
家族にしろ友人にしろ、その際には単に潜在意識をシンクロさせることを目的にするのではなく、個人間の関係性が強固でありつつ居心地の良いバランスを保っていることが重要となるようだ。
「抱擁(ハグ)はブーメランのようなもの。慈しむ気持ちがすぐにあなたに戻ってくる」(ビル・キーン:アメリカの国民的コミック作家)
痛みの軽減効果も素晴らしいが、そもそも深い信頼と愛情に包まれて誰かに優しく触れられる機会がある人はそれだけで幸せに違いない。
参考:「The Mind Unleashed」、「EWAO」、ほか
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