上写真ともに、名越啓介写真集『Familia 保見団地』(世界文化社)より
――保見団地に住んだことで、今の日本についても何か発見があったんじゃないかな?
名越「近年、難民やアメリカとメキシコの国境とか、人種や文化の違いをどうやって乗り越えていけばいいのかということが世界的にも問題にされています。この写真集は、オリンピック後、これから日本が抱えるだろう問題を先取りしていた部分もあるかもしれないなと思っているんです。実際、そういう捉え方をする人もいて、たぶん、これから日本はどんどん外国人が増えて、今回出会った南米の人は日本人と常識が全然違うから、どうやって付き合っていけばいいのかわからなくなるような状況が起こってくるだろうなと。オリンピック後、日本に住む外国人の仕事がごっそりなくなったら、みんなお金がなくなってスラム化するでしょう。保見団地って、そんな未来の光景を予言的に見せてくれているようにも思えるんです」