上写真ともに、名越啓介写真集『Familia 保見団地』(世界文化社)より
――被写体と一緒に暮らすのも、このときから自分のスタイルになっていますね。
名越「そうですね。10代後半から20代前半にかけて、ロスのスクワッターを撮っていたときから、被写体と同化するようなスタイルでやっています。ただ、当時は無我夢中でいっしょに暮らしてシャッターを押してただけですけどね(笑)。その後、いろいろと撮っていますけど、最初に撮ったスクワッターのインパクトに勝てないところがあって、やればやるほど、模索し続けているような感じがあったんですよね」
――写真の迫力みたいなものを求めていたの?
名越「倉田精二んさの写真集『フラッシュバック』や雑誌『バースト』をみて、何んじゃこりゃって思えるような写真を撮りたいとずっと目指してきました。『バースト』の編集長だった曽根賢さんとの出会いも衝撃だったんです。一番最初に受けた衝撃って、あとからは超えられないパンチ力があって。それをいつ乗り越えるのかってことが次なる課題になっていくのかもしれないけど」