片頭痛が半減する画期的新薬「エレヌバム」が来年にも市販か? 科学者「20年ぶりの最大級のブレークスルー」

 現代人の多くが悩まされている症状のひとつが頭痛だ。糖尿病、てんかん、ぜん息などよりも患者数が多いといわれている頭痛だが、これまでになかった特効薬が来年にも登場しそうだ。


■頭痛が半減する画期的新薬「エレヌバム」

片頭痛が半減する画期的新薬「エレヌバム」が来年にも市販か? 科学者「20年ぶりの最大級のブレークスルー」の画像1Quartz」の記事より

 現代人の多くが日々悩まされている頭痛は命に関わることは少ないために社会生活の中では軽視されがちである。しかしながらその症状は頭痛のみにとどまらず、めまいや吐き気、全身疲労、知覚過敏、場合によっては麻痺や昏倒も引き起こす可能性もある厄介な疾患だ。

 しかしながら頭痛に悩まされる人々には大きな希望がすぐそこまできているようだ。頭痛に極めて効果が期待できる新薬、エレヌマブ(Erenumab)がアメリカとヨーロッパで来年にも利用可能になる見込みが高いというのだ。

 先日、イギリスの権威ある医学ジャーナル「New England Journal of Medicine」で発表された報告によれば、現在このエレヌマブはアメリカ食品医薬品局と欧州医薬品庁による最終チェックを受けていて、2018年の早い段階で市販化される見込みであるということだ。

 エレヌバムはモノクローナル抗体(monoclonal antibody)の一種で、人工的に生成されたCGRP(calcitonin gene-related peptide)というタンパク質が主成分である。エレヌバムを注射することで、頭痛と吐き気を大幅に緩和できるという。

 臨床実験では955人の参加者を3つに分け、Aグループにはエレヌバム70mgを処方し、Bグループにはその倍の140mg、そしてCグループにはプラセボ(偽薬)を処方してその効能を比較検証した。

 分析の結果、A、Bどちらのグループにも効果が認められた。Aグループの43.3%とBグループの50%の患者においてひと月の頭痛の回数が半分に減ったことが確認されたのである。そして副作用の症状はまったく報告されなかった。

 また、医薬品大手テバファーマが開発したエレヌマブに類似した抗体であるフレマネズマブ(fremanezumab)を慢性片頭痛の患者1,130人に対して処方したところ、被験者の約41%は頭痛に襲われる日が半減したという。

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