片頭痛が半減する画期的新薬「エレヌバム」が来年にも市販か? 科学者「20年ぶりの最大級のブレークスルー」

■「20年ぶりの最大級のブレークスルー」

 エレヌバムを販売するのはノバルティスファーマとアムジェンの2社であるが、テバファーマ、イーライリリー、アルダー製薬の3社からもエレヌマブに極めて類似した頭痛薬が販売される予定だ。前2社のエレヌバム製品のチェックは最終段階に入っており、その後引き続き3社の製品が検査される手筈になっている。

 ややネックに感じられるのは価格だ。まだ正式に発表されてはいないが、エレヌマブの1年分の処方で8500ドル(約96万円)という価格が見込まれているようである。しかしこの価格はおそらく販売開始初期にとどまり、数社から市販されることで価格競争が起りすぐに値段が下がるものと見込まれているようだ。

「NHS(英・国民保険サービス)と患者の側に立てば、数社の製薬企業が競い合って将来的に価格を下げることはとても良いことです」と検査に関わっているキングス・カレッジ・ロンドンのピーター・ゴツビー教授は語る。

 ゴツビー教授によれば、既存の治療法がまったく効かないおよそ50万人の患者に最初にこのエレヌバムが処方されると推定できるという。そして価格が下がるほどに利用者数が増加するということだ。

エレヌマブはこの分野での20年ぶりの最大級のブレークスルーであり、現在すべての関係者と協力して、片頭痛の効果的で有効な治療法を受ける選択肢を用意することに取り組んでいます」とノバルティスファームの科学部門主任、ディミトリオス・ジョージパウロス氏は語る。

片頭痛が半減する画期的新薬「エレヌバム」が来年にも市販か? 科学者「20年ぶりの最大級のブレークスルー」の画像2Daily Mail」の記事より

 先進各国で頭痛を訴える患者は考えられているよりも多く、労働生産の現場において頭痛による欠勤やパフォーマンスの低下が大きな経済損失になっているともいわれている。それだけに20年ぶりの画期的な新薬といわれるエレヌバムに大きな期待が集まっているようだ。


参考:「Daily Mail」、「Quartz」、ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
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