マイケル・ジャクソンの神業「ゼロ・グラビティ」のスゴさを神経科学者が解説! 「身体と物理学の関連性を無効にした」

 マイケル・ジャクソンが亡くなって、まもなく9年がたつ。個人的には「Human Nature」が一番好きだが、ド肝を抜かれたという点では「Smooth Criminal」がブッチギリだ。あの、重力を完全無視したイリュージョン、“ゼロ・グラビティ”は今でも語り草になっている。


■MJの神業“ゼロ・グラビティ”の秘密

 1988年、マイケルはステージで突然、背筋を伸ばしたかと思うと、グワァーンっと身体をぐいぐい前に傾け、また元のポジションに戻ったのだ。その角度、約45度! 並の人間ならせいぜい20度、プロのダンサーでも30度いくかどうかだから、重力に逆らうにもほどがある。

 難易度の高いパフォーマンスだが、もちろんタネはある。ダンスフロアから出ているペグ(杭)を、靴のカカト部分の金属パーツに引っ掛け、前に倒れ込むという仕掛けだ。

マイケル・ジャクソンの神業「ゼロ・グラビティ」のスゴさを神経科学者が解説! 「身体と物理学の関連性を無効にした」の画像2画像は「YouTube」より

 この特殊な靴「反重力ブーツ」とステージ技術は、まとめて「Method and means for creating anti-gravity illusion(反重力イリュージョンを創造する方法)」と呼ばれているが、なんとマイケルがデザイナーらと連盟で特許を取得しているんだそうな。

 もちろん、このブーツを履いたからといって誰でも前倒できるわけではない。相当の体力と訓練が必要だ。完璧主義のマイケルが、密かに猛特訓をしていた姿が目に浮かぶ。転倒する危険をはらみながら、ギリギリの見せ場を作る――彼が超一流のパフォーミングアーティストだからこそ、やりおおせた大技なのだ。

「MJの超人的傾きは、見る者を驚かせました。身体の生理機能と物理学の関連性を無効にしたチャレンジでした。当時、多くのファンが同じ動きをマネしては、顔から落ちてましたね」と、楽しげに回想するのは、インドにある大学院大学「Postgraduate Institute of Medical Education and Research(PGIMER)」の研究員ヨグニック・二シャント氏だ。

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