クリプトアナーキズムは人類の未来か、終焉か!? アノニマスやスノーデンも同調、過激主張の破壊力と“2つの原則”とは!?
情報はすべて自由化されなければならないという“クリプトアナーキズム”の思想に基づく“クリプトアナーキスト”が増えているという。クリプトアナーキズムとはいったい何なのか。そして何を目指しているのか――。
■“3Dプリンター銃”は表現の自由の産物
米「WIRED」誌の「世界で最も危険な人物15」に選ばれたコーディ・ウィルソン氏が再び“3Dプリンター銃”の問題で話題になっている。2013年にウィルソン氏が創設した「Defense Distributed」から3Dプリンターによって製造可能な拳銃のデータが公表され、すぐさま10万回以上ダウンロードされたといわれている。
国務省からの命令でデータはウェブサイトからは削除されたのだが、ウィルソン氏はこの夏に“3Dプリンター銃”のデータを再び公開する計画を発表。しかし公開の直前になってシアトルの連邦地方裁判所から公開の差し止めが命じられたことが報じられ、ウィルソン氏は再び話題の人物になっている。
多発する銃撃事件に揺れるアメリカ社会だが、この“3Dプリンター銃”の問題もまた国民の銃を所持する権利を認めるアメリカ合衆国憲法修正第2条の解釈をめぐる問題だと一般的には受け止められている。しかし、ウィルソン氏の本来の争点はアメリカ合衆国憲法修正第1条の“表現の自由”にあるという。“3Dプリンター銃”は表現の自由の産物であるというのだ。
ウィルソン氏はクリプトアナーキスト(crypto-anarchist)である。クリプトアナーキズムの基本思想は、情報はいくつかの権力の手で統合されるのではなく、むしろすべての人が容易に利用できるようにすべきであるという主張である。このインターネット時代にあっては、情報は中央に集約されるのではなく、中央から外れて、いとも簡単に入手できるものでなければならないという。そしてクリプトアナーキズム運動によってこれまでの社会で続いてきた中央集権制度とそれに伴う検閲の無効化をもくろんでいるのだ。
■ブロックチェーンの登場によって現実のものに
クリプトアナーキズムの起源は1988年にさかのぼる。作家のティモシー・C・メイ氏が発表した「クリプトアナーキスト宣言(The Crypto Anarchist Manifesto)」によって、暗号技術を用いた規制のない自由なインターネット空間を実現し、社会や政治に変革を起こす運動であるクリプトアナーキズムが提唱されたのだ。
クリプトアナーキズムには2つの原則がある。それは“表現の自由”と“匿名性”である。本人が名乗るかどうかはともかく、その意味ではハッカー集団のアノニマスやウィキリークスを創設したジュリアン・アサンジ、NSA(国家安全保障局)による個人情報収集の実態などを暴露したエドワード・スノーデンらもまたクリプトアナーキストと呼ぶことができる。
チェコ・プラハにある「パラレル・ポリス(Parallel Polis)」というクリプトアナーキスト団体はインターネットにおいてより多くのデータを“解き放つ”ことを活動の主眼に置いている。特に一対一の個人間コミュニケーション(P2P)において、何ら介入のない完全に匿名なやり取りが可能なネット社会の実現を目指している。彼らはこれを“コミュニケーションのウーバー化”と呼んでいるようだ。
前出のティモシー・C・メイ氏は宣言文で下記のように述べている。
「コンピュータ技術は、個人やグループが完全に匿名のやり方で互いにコミュニケーションし、相互交流できる能力を提供しようとしている」(メイ氏)
そして今日、1988年当時のメイ氏が主張した技術はビットコインなどに用いられているブロックチェーン技術によって現実のものとなっている、
こうしてクリプトアナーキストのためのツールはすでに揃っているものの、それについて彼らの活動を手放しで肯定できる根拠ではないと訴える声もある。実際、多くの人がクリプトアナーキズムのメリットについてかなりの疑念を持っているようだ。
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2024.10.02 20:00心霊クリプトアナーキズムは人類の未来か、終焉か!? アノニマスやスノーデンも同調、過激主張の破壊力と“2つの原則”とは!?のページです。3Dプリンター、銃、仲田しんじ、ブロックチェーン、アナーキスト、クリプトアナーキズム、匿名性、表現の自由などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで