【新連載】the band apartベーシストで怪談師・原昌和の“聖糞飛来通信”
「ションベンかけながら殴られたのでキレた」the band apartベーシストで怪談師・原昌和の“聖糞飛来通信”
■限界からの異端
小学生5年生になった時の事。
うちの小学校は、電車通学で片道2時間程かかる場所にあった為に、同じ区域に住んでいる上級生下級生をまとめたグループを作って、月一で各教室に別れて「登下校班集会」が行われるのだが、この時間が「最大の法難タイム」なのである。
全学年から選りすぐりのクソが集結し、ここぞと熟考した「嫌がらせテク」を皆んなと競い合う、発表会が始まるのだ。俺の嫌いな虫を頭から浴びせ掛ける奴。オーセンティックに蹴り込んでくる奴。ションベンをかけながら殴ってくる器用な奴…。
俺は無言で立ち上がり、振り返ってそいつを持ち上げて3階から落とした。
誰も俺に手を上げなくなった。
帰って手品マントを破り棄てて、極真空手に入会した。
毎日、裸足で山の中でを駆け回り、大木に藁を括り付けて殴り続け、心霊スポットを荒らしまくり、虫を喰らい、雷雨の中で叫んだ。今思えば、俺は明らかに変な奴になっていったんだと思う。
そのうち空手もやめた俺は、パピコを買っては2個ある内の片方のパピコを学校の前の通りに投げ、トラックがパピコを轢き、砕け散る瞬間。その砕け散るパピコを指差して
「ケネディ」
と呟く遊びを1人興じるまでになっていた。
異端になろうとしていたら異端に気付かなくなっていたのだと思う。異端が何かすらわからなくなって行ったのかも知れない。
ある日家に帰ると、母親がよろず屋で買ってきたクラシックギターがあった。そのギターで、かつてNHK教育で放送していた「できるかな」のテーマソングのメロディーに、同級生の辛辣な悪口を乗せた替え歌を、真剣にテープレコーダーに録音し始めた。
これがのちの「the band apart」である。
そして、そのままの惰性で今日に至るのだが。
音楽活動とは別に、幽霊が一番苦手だった俺が今では、何故か「怪談の語り部」として怪談イベントに呼ばれる事が多くなってしまった。いつの間に感覚が裏っ返ってしまったのか、怪談にヒーリング効果を感じる様になってしまったのである。
ある怪談会で、このサイト「TOCANA」のボス。角ちゃんに「原さんの異常性が伝わるコラムをうちで書いて欲しいです」と声を掛けて頂いた。変である事、異常である事に一生懸命だった人間が見聞き、体験してきた事は、もしかしたら此処の人にも需要があるのかも知れないと思ったので、ノンジャンルにはなると思いますが、微力ながらTOCANAエンターテイメントのお役に立てればと思い、本日、2018年10月17日。原昌和、満40歳になったこの日。この「聖糞飛来通信(ひじりぐそひらいつうしん)」を連載開始させて頂く事をここに宣言し、ご挨拶とさせて頂きます。
(文=原昌和)【原昌和関連記事まとめはコチラ】
原昌和(はら まさかず)
1978年10月17日生まれ。「the band apart」のベーシスト&ボーカル、作詞・作曲も担当。「the band apart」は、1998年に結成。2001年にシングル「FOOL PROOF」でデビュー。多様なジャンルの音楽を取り入れたハイクオリティの楽曲を次々と生み出している。8枚目となるオリジナルアルバム「Memories to Go」を約2年半ぶりにリリース。近年は、怪談師として活動の幅を広げている。
twitter:https://twitter.com/chinwaki
the band apart HP:http://asiangothic.org/
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2024.10.02 20:00心霊「ションベンかけながら殴られたのでキレた」the band apartベーシストで怪談師・原昌和の“聖糞飛来通信”のページです。怪談、the band apart、聖糞飛来通信などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで