【マネーの怪談】本当に怖い「幸せのクレジットカード」! キャバクラ、裏社会…売れない芸人から譲り受けたカードを使った男の末路
知人と一緒だと支払いのときにバレるので、一人で新宿のキャバクラに出かけるのがケンジの習慣になった。足がつかないように店の中ではNさんの本名で通している。ケンジは初来店のときに席についてくれた桃香がお気に入りになった。そこそこ有名な大学の女学生で、笑ったときにほっぺたに指をあてるしぐさが本当に可愛いと思った。
そのことで月1回が月2回になり、そして同伴。そのとき、ついケンジは桃香にカードのことを自慢してしまった。
それからだった。桃香がケンジに積極的にアプローチしてきたのは。月末が近づくと桃香たちトップランクのキャバ嬢は売上ランキングから転落しないように集客に走る。3カ月後、ケンジは思いがけずこんな話を持ちかけられた。
「今月の残り、5日連続で指名してくれません?そうしたら……」
その先には夢の「枕」が待っているという。ケンジは幸せのカードを手に、毎日桃香のお店に通った。
そして約束の日、ラブホの入り口で桃香は「ひとつ条件があるの」と言って、ケンジからその幸せのカードを巻きあげて自分のケリーバッグの中にしまいこんでしまった。幸せのカードは、その後の幸せのひとときとともにケンジの元から去って行った。
翌々月のこと、タツオが顔を腫らしてバイト先に現れた。N先輩からボコボコにされたらしい。リアルにアウトレイジな元ヤン芸人だという話は本当だった。
「カードは街で脅されて巻き上げられたということにしてあるから。ケンジの名前はばれていないからね」
とタツオは言った。
「でも、Nさんはキャバクラとホストクラブで大枚を使い込んだ奴を必ず見つけるって。歌舞伎町の仲間に声かけたそうだからお店にはもう近づかないほうがいいかも」
偽名で遊んでいたから大丈夫とそれを聞いてケンジは思ったそうだ。しかしその時は、お店に予約する際に携帯番号を残していたことにはまったく気づいていなかった。
……というのが、突然暴漢に襲われ、その夜にワンボックスカーの当て逃げに遭って全身骨折で入院している、同室の若者から聞いた怖い話だ。
(文=王山覚/グローバルコンサルティングファームに勤務するビジネスウォッチャー)
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2024.10.02 20:00心霊【マネーの怪談】本当に怖い「幸せのクレジットカード」! キャバクラ、裏社会…売れない芸人から譲り受けたカードを使った男の末路のページです。キャバクラ、怪談、お笑い芸人、王山覚、クレジットカードなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで