「霊感がある人なら泡を吹いて倒れる」日本全国の“曰くつき”ばかり追い求めた前代未聞の奇書『奉納百景』著者・小嶋独観インタビュー!
小嶋 見た目の不気味さで言えば、椿大師の髪の毛(大分県豊後高田市)などもありますが、やはり一番怖いのは“人の念”ですよ。
――逆に、生贄が目の前にあってもそれほど恐怖は感じないものですか?
小嶋 生贄といえば、イノシシの骨が積み上げられたシシ権現(大分県臼杵市)という場所があるのですが、無数の骨よりも、そこに行くまでの道の方が怖かったです。崖に鎖が吊るされていて、それを使って30メートルほど登ります。テレビゲームみたいに隣の鎖に移らなければいけないポイントもあるんです。手を滑らせたら間違いなく死にます。とにかく怖かったですね。
全国的に有名な長野県の諏訪大社にも上社前宮の御頭祭という神事があって、(剥製の)鹿の首が奉納されます。見た目のインパクトはありますね。お正月には「蛙狩神事」といって珍しい種類の蛙を串刺しにする儀式も行われますが、動物愛護団体が抗議しています。昨今ではなかなか難しい問題ですが、江戸時代には本物の鹿の生首を75頭分、並べてお祭りをしていたそうです。人間と神様がその場を共有し、神様に食べてもらうという歴史ある神事ですから、残ってほしいと思います。
――なるほど。生贄に含んでいいものか迷いますが、日本にも人身御供はあったんですか?
小嶋 昔はありましたね。諏訪大社でも、人を柱にくくりつけて、殺すふりをしていました。言い伝えによると、さらに昔は本当に殺していたそうです。人柱という行為自体は、地盤が悪かったり橋がかかっている場所で、土地の神様を鎮めるために全国各地で行われていたといいます。
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