原発事故の“本当の恐怖”を描きすぎたドラマ『チェルノブイリ』のヤバさを徹底解説! 金髪ロン毛の天才物理学者と清水あいり対談!
多田 あっ、その部分、勘違いする人がいるかもしれないけど、重症の被爆患者に「近づいてはいけない」のは、近づく人よりも被爆患者のほうに危険があるから。放射線にやられた人は免疫力がなくなってしまうので、ちょっとした菌にも感染して命を落としやすい。それで、できるだけ菌に触れない環境に置くんです。被爆患者に近づいても放射線は伝染らないんですよ。
清水 えーっ、そっちだったんですね! 私、奥さんの気持ちはすごく理解できると思ってたんですけど、それはいくら愛していても会っちゃダメじゃないですか!
多田 ただ、ダメだと言われたら逆に会いたくなっちゃうよね~。病院も混乱していて、医者もまた理由を言わないんだよね。
■徹底的に描かれた放射線の恐怖
清水 ドラマでもたくさんの人が犠牲になっていましたが、放射線をどれくらい浴びると死んでしまうのか、それがいつ確定するのか、底知れない怖さがありました。
多田 原発作業員の懐中電灯が切れちゃって、放射線測定器の「ガガガガガ……」っていう音だけで危機感を煽ったり、恐怖の伝え方の部分、うまくできていましたね。事故直後、何が起きているのか知らないまま駆けつけた消防隊の人たちもそうだけど、一気に強い放射線を浴びると、その瞬間には気づかなくてもDNAがズタズタになってしまうんです。人間の身体は、いつも同じに見えて実はどんどん新しい細胞に置き換わっているから、DNAがやられてしまうと細胞分裂ができず、新しい皮膚も臓器も作れない。それで死んでしまうんですよ。
清水 重症の消防隊員たちの皮膚が原型をとどめないほどただれていたのは、そういう理由なんですね。
多田 それから、放射線でズタズタにされるほどではなくてもDNAが傷つけられた場合は、数年後とか、数十年後に細胞ががんに変化する可能性があるんです。あくまでも可能性なので、がんにならない人もいますが、主人公のレガソフ博士も政治家のシチェルビナに「(自分たちは)5年後に生きているかわからない」というようなことを告げていたでしょう。
清水 事故を起こした原発からどのくらいの距離にいるかで生き残る確率が変わる理由も教えてほしいです。
多田 放射線は目に見えないけれど、明かりのようなものだと考えてください。たとえば、真っ暗闇でつけたランプは近寄るほど明るく見えるし、逆に遠ざかると暗くなりますね。これは、発している光の強さは変わらないけれど、近づくほど狭い領域に、遠ざかるほどより広い領域に光が散らばっていることから生じる違いなんです。放射線もこれと同じで、近づくほど危険なんです。
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2024.10.02 20:00心霊原発事故の“本当の恐怖”を描きすぎたドラマ『チェルノブイリ』のヤバさを徹底解説! 金髪ロン毛の天才物理学者と清水あいり対談!のページです。海外ドラマ、チェルノブイリ、原発、放射能、東日本大震災、がん、対談、ソ連、スターチャンネル、セシウム、金髪、物理学者、ヨウ素、福島第一原子力発電所事故、清水あいり、多田将などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで