【封印映画】『怪談 片目の男』の独特すぎる面白さ! 障がい者を怪談の主軸に据えた問題作であり、名作とは!?

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 翌日、納骨堂の棺の中から深沢医師の死体が発見され、パニックになった秘書の圭子が自ら海へ没する。圭子は晃一郎が釣りをする前に、大西が深沢に調合させた痺れ薬を常備薬とすり替えて飲ませていた。薬が効いた頃を見計らった大西が船まで行き、動かない晃一郎を海へ落としたのだ。だが、晃一郎が動けなかったのは痺れ薬のためではなく、下田と美千子に首を絞められたからだ。大西はこのことを知らない。

 その頃、晃一郎の幽霊がリビングでイチャつく下田と美千子を驚かす。恐怖に駆られた下田は屋根に上り、足を滑らせ石畳の地面に落下して頭を割り即死。浴室にいた美千子は晃一郎を見てパニックになり、誤ってシャワーの熱湯を浴びて倉庫に逃げ込む。「アタシまだまだ綺麗でしょ? あなただけを愛していたの。魔が差したの。ねえお願い、抱いて!」と必死に懇願する美千子の首根っこを掴んだ晃一郎は「よく見ろ。これがオマエの顔だ」と鏡に映す。火傷で醜い顔になった自分の顔を見た美千子は手摺りから転げ落ち、骨董品のギロチン台に首から落ちる。しばらくして倉庫に入った大西は、美千子の首にすげ替えられた仏像を見て「うわっ」と車で逃走し、トンネル内で壁に激突死する。

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イタリア語版。画像は「IMDb」より

 実は仮死状態だった晃一郎は海水の冷たさで覚醒し、世を忍んで神父を務めている双子の弟・健二郎の教会へ逃げ込んでいた。生まれつき片目の健二郎は「○○者(身障者の蔑称)と一緒に暮らすと家が滅びる」という迷信のため、教会に捨てられたのだ。復讐に燃える晃一郎は興奮して鐘楼から落ちそうになり、兄を助けようとした健二郎が墜落死してしまった。海岸で発見された死体は、晃一郎が自分に見せかけるため、障害を隠そうと左目を潰した健二郎の死体だったのだ。

 健二郎に成りすました晃一郎から兄の仇討ちを聞かされた雪子は豹変し、「陽子を殺して財産を2人で山分けしよう」と切り出す。戦慄した晃一郎は、雪子を車椅子ごと崖から落とそうとする。だが雪子は晃一郎を動かないはずの足で蹴飛ばして車椅子から立ち上がる! 半身不随は芝居だったのだ。晃一郎は雪子に崖から突き落とされてしまう。

 屋敷に戻った雪子は毒入りミルクを陽子の部屋に運ぶ。そこへ現れる不死身の晃一郎(笑)。倉庫に逃げ込んだ雪子に、晃一郎は左目から障害偽装のコンタクトを外す。「社長!?」と驚いた雪子は、揉み合って転んだ拍子に骨董の洋剣で背中を貫き絶命する

 リビングでは、不憫な陽子に優しく頬を寄せる家政婦の婆や。それを陰から見ていた晃一郎は黙って屋敷を去り、自害するためボートで洋上へ消える。別荘は陽子の物になる。

 この作品、オカルト映画だった『せむし男』に対し、オバケが出てこない推理スリラーだ。かつて『ザ・ガードマン』や『プレイガール』などの犯罪系テレビ番組で夏の風物詩として放送された、犯人が復讐のため幽霊に化けて仇を追い込むエセ怪談の作劇だ。これにアジャストしたのが小林恒夫監督だった。「これはどうやって?」と腑に落ちない点もあるが、心霊現象に見せかけたトリックのネタ晴らしを一切説明しないのが逆に潔い。

 小林監督は松本清張原作の映画化『点と線』(58年)で、それまでの東映になかったサスペンス演出が評価され、後に巨匠となる深作欣二降旗康男に影響を与え、『怪談 片目の男』でもその手法を存分に発揮したのだ。『怪談 せむし男』と併せてディスク化を求む。

文=天野ミチヒロ

天野ミチヒロ
1960年東京出身。UMA(未確認生物)研究家。キングギドラやガラモンなどをこよなく愛す昭和怪獣マニア。趣味は、怪獣フィギュアと絶滅映像作品の収集。総合格闘技道場「ファイト ネス」所属。著書に『放送禁止映像大全』(文春文庫)、『未確認生物学!』(メディアファクトリー)、『本当にいる世界の未知生物 (UMA)案内』(笠倉出版)など。新刊に、『蘇る封印映像』(宝島社)がある。
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