【封印映画】『怪談 片目の男』の独特すぎる面白さ! 障がい者を怪談の主軸に据えた問題作であり、名作とは!?

――絶滅映像作品の収集に命を懸ける男・天野ミチヒロが、ツッコミどころ満載の封印映画をメッタ斬り!

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『怪談 片目の男』

1965年・東映

監督/小林恒夫

脚本/高岩肇、宮川一郎

出演/西村晃、中原早苗、川津裕介ほか

 1960年代の東映は、ホラー映画のジャンルにおいて他社に大きく後れをとっていた。大映は化け猫映画や『怪談 累が淵』(60年)など、日本の伝統的な怪談映画を確立。新東宝は『憲兵とバラバラ死美人』(57年)、『地獄』(60年)など、独特な猟奇的映像美を誇る作品。東宝も十八番の円谷特撮を駆使し、怪奇にSFを融合させた『美女と液体人間』(58年)、『マタンゴ』(63年)などの「変身人間シリーズ」で実力を見せつけた。

 そんな背景のなか東映は、1965年に名優・西村晃を主役とした「怪談シリーズ」2作品を製作。1作目は以前ここで紹介した『怪談 せむし男』。そして2作目が、新人時代の黒澤明監督を補佐した小林恒夫を監督に抜擢した『怪談 片目の男』だった。

 ちなみに劇伴(劇中の音楽)はテレビ版『水戸黄門』の木下忠司。主演が後に同番組で光圀公を演じる西村晃とあって、劇伴マニアの筆者としてはニヤリとしてしまう。

 障害者を怪談の主軸に据えた両作品は、残念ながらどちらもVHSビデオ、ディスクは発売されていない。ここで簡単なストーリーを紹介しておこう(ネタバレ含む)。

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西村晃。画像は「Wikipedia」より

 恩田産業社長・恩田晃一郎(西村晃)が左目の潰れた水死体で発見され、夜釣り中の事故死とされる。葬儀後、晃一郎の別荘に彼の委任状を持つ宇野弁護士が関係者7人を集める。未亡人の美千子(本作公開年に深作欣二と結婚した中原早苗)。美千子と不倫関係のカメラマン・下田(中堅俳優の川津裕介)。晃一郎に背任横領の罪を被せ、会社乗っ取りを謀る大西専務。社長秘書の秋山圭子は大西の女だ。

 晃一郎の主治医で美千子の兄・深沢。孤児院から来た晃一郎の隠し子・陽子。そして車椅子に乗る若い女性・雪子は、独身時代の晃一郎に車で撥ねられ下半身不随となり生活の面倒を看てもらっていた。知らなかった隠し子と雪子の存在にショックを受ける美千子。

 まず別荘では黒猫が雪子のスープを飲んで毒死し、晃一郎が好んだ曲を奏でるバイオリンの音が聞こえてくる。そんなことにもめげず情事を楽しむ下田と美千子は、実は晃一郎を殺害した張本人だ。遺産を狙い晃一郎の首を絞めて浴槽に沈め、船底の栓を抜いた船に乗せて沖へ流していたのである。

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