「穴」を通じて満たされる男女の劣情！ 自由恋愛なき中部地方で受け継がれた伝統的エロ・コミュニケーションとは？

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「いつ誰が入ってくるかわからんものだから、そこまでじっくりとというわけにはいかんねだけどね。けれどもそのもどかしさがかえっていいっていうね（苦笑）」

　無論、彼らに許されているのはそこまでであり、それ以上の行為については行えないというが、普段は道で通りすれ違っても会釈程度しかできないという状況であるため、こうしたもどかしいコミュニケーションでも満足できたのだそうだ。

「今の人たちからすれば、考えられないことだろうけども、あれはあれで良かったんじゃないかな」

　石川さんの話によれば、男女の浴場を隔てた板塀の穴は、どうやらある種の目こぼしとして設けられたものであるようで、村の誰もがその存在を知っていながらも、塞ごうという声は一向に出なかったという。多くの若い男女たちの営みを見守り続けてきたこの穴。その意味を知らぬ者が大半となった今でも、当地の共同浴場にひっそりと残されている。

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文・取材＝戸叶和男

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