セフレを求める男女が“森の木”に細工を…!? 愛欲と創意工夫にあふれた知られざる「出会い系ツール」の伝統＝東北

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　そもそもで“性”に対して閉ざされた風土であったという当地においては、不倫はもとより男女の色恋そのものでさえも、表立っては行えない環境にあったという。そのため、悶々とした想いを抱える男女たちは、コッソリと森の中へと分け入って、自分の欲することを、適当な木の幹に刻み、ある種の憂さ晴らしをしていたのだという。しかしこの“落書き”を、運良く別の誰かが見つければ、そこから新たな展開が生まれることもあったそうだ。

「字の感じで男か女かはわかるから、気になるのを見つけたら、そこに自分の返事を刻んでおくの。すると、最初にそれを刻んだやつがまたそこに返事を書いて……という具合になって、めでたく結ばれるってなこともあったみたいだね」

　ネット上の匿名掲示板や、ラブホテルのノートよろしく、ある種のコミュニケーションツールとして、“森の木”を使っていたという当地の男女たち。さすがに今ではこうしたまどろっこしい方法での出会いを行う者はいないというが、これに似た手法自体はネット上のツールを使う形で現在も行われているだけに、なんとも興味深いところである。

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文＝戸叶和男

戸叶和男

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