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「ねえ、おじさん……しない？」女子中学生が中年男と愛を育む…禁断の映画『少女 an adolescent』

2022.01.06 12:00 編集部

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――絶滅映像作品の収集に命を懸ける男・レトリバーが、ツッコミどころ満載の封印映画をメッタ斬り！

『少女　an adolescent』
2001年
監督／奥田瑛二
脚本／成島出、真辺克彦
出演／奥田瑛二、小沢まゆ、室田日出男、夏木マリ、小路晃、そのまんま東ほか

「ねえ、おじさん。セックスしない？」。これは伝説の鳥の雌雄を互いの肌に彫る事で、30歳という歳の差を埋めた男女の物語です。俳優・奥田瑛二は、かつて連城三紀彦の同名小説を読んで感銘を受け、最も尊敬するロマンポルノの巨匠・神代辰巳と共に映画化を温めていました。1995年に神代監督は亡くなりましたが、奥田は監督デビュー作にこれを選んだのです。

　女性に刺青を入れる代表作として、谷崎潤一郎の『刺青（しせい）』は何度も映画化され、吉高由里子のデビュー作『蛇にピアス』（08年）も心に残ります。それらは最年少でも女子大生でしたが、こちらは女子中学生ですから衝撃的です。でも安心してください。ヒロインを演じた小沢まゆは、撮影時二十歳でした。

　奥田瑛二監督の妻はエッセイストの安藤和津、長女は映画監督の安藤桃子、次女は女優の安藤サクラ。特撮番組『円盤戦争バンキッド』（76年）の主役でデビューし、80年代には『金曜日の妻たちへⅢ』（85年）などで人気を博し「不倫してみたい俳優」ナンバー１と呼ばれました。『少女』の製作に入った1999年には10代女性へのセクハラ疑惑で奥様に土下座をし、酔って下半身を露出する酒癖の悪さでも知られています。そんな私生活も芸の肥やしなのでしょうか、年齢を重ねても色気を失わず何の役でもこなせる実力派俳優です。

　奥田が演じるのは、背中一面に刺青、子供に拳銃を撃たせ、目を付けた女性の犬をさらって痴呆婆さんの家に隠し「探して来ました！」と渡してヤッテしまう（笑）不良中年警官・友川。舞台は愛知県瀬戸市の田舎町。ある日、喫茶店で友川は自称ＪＫから「ねえ、おじさん。セックスしない？」と声を掛けられます。コラと叱りながら友川は「で、いくら？」（笑）と即行ラブホに連れ込みますが、何もせず添い寝をしたまま寝落ち。目覚めれば渡した２万円と「やっぱりタダでいいです」と書置き残して少女は消えていました。翌日から友川は少女を探し、女子高生が買えると噂のライブハウスへ直行。少女がいないと解ると、そこにいた女子高生らを後ろ向きに並べて「お仕置きだ！　オマエらケツを出せ」と、スカートめくるわ尻をペシペシ叩くわセクハラし放題です。

　少女・陽子はまだ中三でした。しかも友川が警官になった記念に彫ってくれた彫師（日本映画界が誇る名悪役・室田日出男）の孫だったのです。複雑な家庭の事情で別居していた陽子が、実家に戻ってきたのでした。陽子の兄・助政（当時ＰＲＩＤＥで活躍していた総合格闘家の小路晃）はずっと爺さんと暮らしていて、友川は知的障害のある彼にゴミ処理場で拳銃撃たせたりして可愛がっていました。

　陽子は爺さんの仕事をまとめたアルバムを開き、そこで若き友川の刺青写真を見つけます。翌日陽子は学校の図書室で絵柄の「比翼の鳥」を調べ、雌雄それぞれ目と翼が片方しかない空想上の鳥が、一体となって支え合いながら飛ぶ事から、男女の契りの深さを表していると知ります。友川のはもちろんオスです。その記述を声に出して読み上げながら、お下げの二つ結びにした女子中学生が右手を股間に忍ばせ、なかなかの表情で自慰を始めます。そう言えば上には上がいて『台風クラブ』（85年）では実年齢14歳の工藤夕貴が自慰シーンを演じていましたっけ。

　さて爺さんですが、いつも孫娘の入浴（制服脱ぎから撮る奥田監督）を目玉ひん剥いて覗いていて、終いには脳溢血で倒れてしまいます。また陽子がうつ伏せで昼寝していると、背中をめくりブラのホックを外し、指でアチコチなぞり「おみゃーほど白くてキメ細かい肌は見たことにゃあ」。そりゃ中学生だし。こう書くとまるでエロジジイですが、彼は純粋に彫師としてその背中に墨を入れたかったのです。陽子が目を覚ますと爺さんは「彫らせてくれ」と土下座までします。ジイジが大好きな陽子は涙目で「お嫁に行けない！　友達とプールにも行けない！　身体検査はどうするの！」と正論をぶつけます。しかし爺さん「たわけ～！　中学生が刺青を入れちゃいけない法律はにゃあ！」とメチャクチャ言います。

　やがて友川は陽子と再会し「本当は中学生なの」と打ち明けられ一瞬クラッとしますが、そこは天下の奥田瑛二、警察チャリに二ケツで痴呆婆さんの家へ。婆さんの布団で結ばれる二人（汗）ですが、ある日窓から助政に行為を覗かれてしまいます。助政は幼少時、母親が知らない男にバックから突かれているのを目撃したのがトラウマで、野犬の交尾を見て発狂し友川の拳銃で撃ち殺そうとした事がありました。よりによって一番慕う友川と妹のセックスを見て大ショックを受けた助政は、かつて兄妹の父親が首吊り自殺した焼却炉の煙突に昇ります。クレーン車に乗って説得に来た友川に「俺見たんだ！　おっちゃんと陽子が犬みたいにやってんのを！」と大声で叫び、野次馬の町民達にバレてしまいます（笑）。

　交番のお巡りさんと女子中学生の関係はすっかり町中に知れ渡り、なんと陽子の母親だった元カノ（夏木マリ）が交番に乗り込んできます。「このロリコン野郎。陽子と何回したの」と母親は友川に包丁を突き付け、手錠で椅子に両手を繋ぎ口には雑巾をねじ込み声を出せなくし、ベルトを外してフェラ、からの騎乗ファック（ここ交番ですよ）。ＮＨＫ朝ドラ『おかえりモネ』で共演した清原果耶が観たら卒倒しそうな逆強姦シーンです。陽子は母親から、友川は元カレで比翼のメスは自分が彫る予定だったと聞かされます。陽子が母親の昔のオトコにレイプされた過去も判明し（その時何歳だよ～）、友川を巡って母娘がバチバチです。こうして陽子に心境の変化が現れ、比翼のメス鳥を爺さんに入れてもらうのでした。

　インモラルな面だけがネット上で取り沙汰されている嫌いがありますが、クライマックスも素晴らしく、きちんと伏線回収できている佳作だと思います。作品は第17回パリ映画祭でグランプリ、第５回バミューダ国際映画祭で審査員特別賞を受賞。体当たり演技の小沢まゆは、ギリシャの第42回テッサロニキ（ギリシャ）国際映画祭など３つの映画祭で、最優秀女優賞に輝きました。監督の奥様もチラッと出ているので、これから観る方は探してみましょう。