スノーデンがAIについて語る! 監視社会と“ソフトウェア共産主義”
我々の暮らしの中のあらゆる会話や行動が追跡され、記録されている事実を大胆に暴露したエドワード・スノーデン氏は、現在めざましい進歩を遂げているAI(人工知能)をどう考えているのか。AIの進歩によって情報収集がより迅速かつ広範に及び、監視社会はより強固なものになるのだろうか。
AIは諸刃の剣
元NSA(アメリカ国家安全保障局)の職員であったスノーデン氏による内部告発は、あの近未来ディストピアSF小説『1984』の著者であるジョージ・オーウェルですら想像できなかったであろう驚くべき大量監視システムを明らかにした。
国家機関による大量監視システムの運用は憲法違反であるにもかかわらず、NSAはそれが国民の安全と保護のためであると主張して正当化した。そして大衆はおおむねその言い分を支持したことになっており、ウィキリークスのジュリアン・アサンジ氏のような権力者の違法行為を暴露した者は訴追と刑罰の対象となる。
環境問題や食料やエネルギー資源の問題、そして戦争など今日の社会はさまざまな困難な問題に直面しているが、ライターのアルジュン・ワリア氏はウェブメディア「The Pulse」に寄稿した記事で、こうした困難な問題に対する“解決策”のほとんどは、監視国家の手にさらに多くの権力とコントロールを与えるように設計されているようであり、総人口監視社会に繋がるものであると指摘している。
そしてこの課題のための最新ツールの1つは人工知能である可能性があるというのである。昨今話題の「ChatGPT」などのAIは為政者の側のツールであるというのだ。
しかし良いニュースは、大衆がこの欺瞞に気づき始めており、これまでと同じようには“解決策”をすぐには受け入れそうもないことであるという。幸いにも現在の我々は政府や大手メディアによるものではない、これらの問題をめぐる微妙で意味のある議論が大規模に行われる時代に生きているのだ。
エドワード・スノーデン氏と認知科学者のベン・ゲーツェル氏は先日、暗号資産系カンファレンス「コンセンサス2023」に登壇し、最近のAIの進歩が監視に与える影響について議論した。ゲーツェル氏は長い間、AIがもたらす否定的および肯定的な無限の可能性と、AI がすでに我々の住む世界をどのように変えているかについての認識を解説し、我々の将来について論理的ではあるものの場合によってはショッキングな発言も行っている。
議論の中でスノーデン氏は人工知能モデルがすぐに人間の能力を超えるかもしれないが、それはAIが我々よりも優れていることを許可された場合に限られると主張している。スノーデン氏は、AI技術が悪人に力を与える可能性があるという一部の専門家の警告に同調することもあったが、新興技術の前向きな使用例も検討している。
AIの進歩によってこれまで以上に強固な監視社会化が進むと考えても不思議ではないが、問題はそれほど単純ではないということだ。
スノーデン氏はAIモデルは侵略的諜報プログラムを促進するのではなく、政府の監視を妨害する可能性があると主張した。その一方で同氏はまた、ChatGPTやその他のますます洗練されたAIモデルの発表により、ユーザーのプライバシーを侵害するビッグテクノロジーや政府主導の取り組みが加速する可能性があるとも警告している。つまりAIは諸刃の剣ということになる。
「AI開発はオープンでなければならない」
スノーデン氏は悪意のある者がAIテクノロジーを利用するのを防ぐために、もともとオープンなAIモデルをこの先もオープンであり続けるために人々は戦わなければならないと主張した。AIを秘密裏に進歩させるのが最も危険なことなのだ。
「人々は“ソフトウェア共産主義”の危険信号を掲げることになるだろう。そこではモデルはオープンでなければならないと宣言する必要がある」とスノーデン氏は語る。オープン性が薄れつつある新たなAIモデルを特に厳しく批判し、AI開発はオープンでなければならないと力説したのだ。
またスノーデン氏は、テクノロジーがどのように使用されるかは、研究者がAIエンジンをどのようにトレーニングするかにかかってくると主張した。問題は我々のテクノロジーにあるのではなく、その背後にある意識と意図なのである。
先進技術を使って恐るべき新兵器を作るべきなのか、それともすべての人に無料のエネルギーと豊かさを提供するためにAIを使うべきなのか、普通に考えてその答えは明らかだ。
ライターのワリア氏によれば結局のところ人類は発明家や研究者に恵まれており、今の人類は技術的に飛躍的に進歩している存在であるという。しかし我々は依然として意識的にも霊的にも未発達なため、環境破壊をはじめ人類の行動は地球はおろか宇宙全体に脅威を与えているのも事実だ。
AIの進歩に否定的な論調も少なくないが、それと同じくらい有効活用できる可能性にも満ちていることは間違いない。我々の周囲に現れつつあるこれまでになかった“現実”についてもまた、よりオープンに話し合われることが必要なのだろう。スノーデン氏に倣えば鍵を握る言葉は“オープン”であると言えそうだ。
参考:「The Pulse」ほか
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2024.10.02 20:00心霊スノーデンがAIについて語る! 監視社会と“ソフトウェア共産主義”のページです。人工知能、スノーデン、AI、ChatGPTなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで