40年前に日本人科学者が“酔った勢い”で宇宙人にメッセージを送っていた! ホーキング博士が危険性を警告、返答は?

【概要】

 1983年、東京大学の2人の日本人天文学者、森本雅樹氏と平林久氏が、スタンフォード大学の望遠鏡にアクセスし、アルタイルに向けて宇宙に無線メッセージを送信する出来事があった。少年漫画の七夕企画という体裁だったが、2人はウイスキーで酩酊した状態でこれを行ったという。故スティーブン・ホーキング博士は宇宙人との接触には危険性があることを警告していたが、果たしてアルタイルからメッセージは返ってきたのだろうか。

【詳細】

“酔った勢い”でいろんなことをしでかしてしまうのが人間の愚かさであり愛すべき(!?)意外性でもあるのだが、なんと“酔った勢い”でエイリアンにコンタクトを取ろうとした天文学者がいた――。

“酔った勢い”で宇宙に向けメッセージ発信

 来るべく“未知との遭遇”の日を我々は漫然と待ち続けていればよいのだろうか。それともその日を一刻も早く到来させるべく積極的にあらゆる手を講じてみるべきなのか。

 日本では七夕伝説の「彦星」としても知られ、わし座で最も明るい恒星であるアルタイル(わし座α星)は地球から約16.8光年離れたところにあり、少なくとも太陽の2倍の大きさがあり、太陽の12倍明るい恒星だ。

40年前に日本人科学者が酔った勢いで宇宙人にメッセージを送っていた! ホーキング博士が危険性を警告、返答は?の画像1
アルタイル 画像は「Wikimedia Commons」より

 一説ではアルタイル恒星系に生命の繁栄に適した惑星が存在するともいわれているが、もちろん今のところ文明の痕跡は発見されていない。

 では試しに地球からアルタイルに向けてメッセ―ジを発信してみたらどうなるのか。なんと日本の2人の天文学者が“酔った勢い”で実際にアルタイルへ向けて地球人として“自己紹介”をしてしまっていたのだ。

 東京大学の2人の日本人天文学者、森本雅樹氏と平林久氏が2008年に行った“告白”によれば、1983年8月15日に2人はウイスキーをひっかけてほろ酔いの状態で、スタンフォード大学の望遠鏡にアクセスし、アルタイルに向けて宇宙に無線メッセージを送信したのである。もちろんそれは“未知との遭遇”を期待してのことだ。

 少年漫画誌の企画でもあったこの大胆な行為で送られたメッセージの内容は、地球人の生態や文明レベル、地球の生命進化の過程などを説明した13種類のデータであった。その中には生命が海から陸地に出現し、最終的に人類に進化するまでの進化の歴史が視覚的に表現されたものもあった。

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発信されたメッセージの一部 「Anomalien.com」の記事より

 ウィスキーで酩酊してはいたが、この試みは日本初の「アクティブSETI(積極的な地球外知的生命探査)」であり、未知の異星文明に向けてメッセージを発信して地球文明を発見してもらう試みであった。

 天文学者たちは返答を待ち、当初は2015~2017年までに返答が来ると予想していた。しかし待てど暮らせど返事は返ってこなかった。

 しかしながら今も新世代の天文学者たちがこの課題に真剣に取り組んでおり、探求は続いている。兵庫大学の鳴沢真也氏らは、8月22日から長野県佐久市にある臼田宇宙空間観測所の電波望遠鏡の64メートルアンテナをアルタイルに向けてその反応を待っている。はたしてアルタイル恒星系で繁栄する文明から何らかの返事が届けられるのだろうか。

“未知との遭遇”は楽観的に待つべきか

 懐疑論者はこの計画の成功について疑問を投げかけている。アルタイル恒星系には惑星がまったく存在しないかもしれないし、居住に適した惑星が存在しないかもしれないし、あるいは知的な住人が我々と関わるのに不十分であるか、単に興味がないのかもしれないというのだ。

 一方で日本の科学者を含む愛好家は基本的には楽観的な見通しを維持している。

 もし地球外生命体が存在するとしても、彼らのすべてが我々の存在を認識しているとは限らない。

 故スティーブン・ホーキング博士は生前、進化した宇宙人が脅威となる可能性があると示唆して警鐘を鳴らしている。彼は高度に発展したヨーロッパ人が後進の先住民族を搾取してきた歴史的な例になぞらえ、こちらから宇宙人にアプローチする危険性について警告したのだ。

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画像は「Wikimedia Commons」より

 1983年の試みは“酔った勢い”であったかもしれないが、宇宙に向けて情報を発信してしまった事実は取り消すことはできない。事の顛末がどのように推移するのか誰にも予想でいないが、時間の経過だけは着実に進む。我々の最大の望みは楽観的であり続けることなのかもしれない。

 そしてもちろん先方が応答している可能性もあり、それがまだ届いていないだけなのかもしれないのだ。“未知との遭遇”の日は、まだずっと先のことかもしれないのだが、その一方でそれが明日であったとしてもまったく不思議ではないのである。

参考:「Anomalien.com」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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