【未解決事件】嵐の夜、何が起きたのか…3人の灯台守が忽然と姿を消した「アイリーン・モア灯台事件」

 スコットランド西岸沖に浮かぶフラナン諸島の1つ、アイリーン・モアという孤島の灯台で3人の灯台守が忽然と姿を消した――。後に「アイリーン・モア灯台事件」と呼ばれたこの事件でいったい彼らに何が起きていたのか。

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■3人の灯台守が姿を消した「アイリーン・モア灯台事件」

 1900年12月18日、フラナン諸島近海を航行中の蒸気船が、アイリーン・モア島の灯台が灯っていないことを確認した。灯台にはトーマス・マーシャル、ジェームズ・デュカット、ドナルド・マッカーサーの3人が着任していた。

 報告を受けた灯台管理当局は補給船を向かわせることにしたのだが、悪天候のため足止めを食らい、島に到着したのは12月26日の正午であった。

 通常、補給船は島に近づいた時点で灯台守に出迎えられるのだが、島には誰の姿もなく、船員が上陸してみると3人の姿はどこにもなかった。

 灯台のドアは閉まっており、室内のベッドは少し乱れていて、どういうわけか時計が止まっていた。

 さらに調べたところ、灯台のランプは掃除され、灯油が補充されていたことが判明した。コート掛けにかかっていたレインコートはドナルド・マッカーサーの名前が記された1着だけであり、雨の中をほかの2人がレインコートを羽織って屋外に出たことが推察された。

 灯台の業務日誌が発見されたのだが、最後に記された日時は12月15日の午前9時で、天候の厳しさを物語る内容であった。

 唯一の異常に思える兆候は、台所のテーブルの椅子が横にひっくり返っていたことだった。ここに座っていた者が何らかの理由で慌てて席を立ったのだろうか。

 人員を増やしてさらに捜索が続けられたのだが、島の西側の船着場には最近の嵐による被害の痕跡が残っていた。

 海抜33メートルのところにあった用具入れの箱が壊れて中身が散乱していた。鉄の手すりは折れ、通路の鉄線はコンクリートから引き抜かれ、1トンを超える重さの岩が移動していた。海抜60メートル以上の崖の頂上では、崖の端から10メートルも芝が剥がれていた。

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 3人の謎の失踪事件はすぐにニュースとなり、当時の新聞には多くの人がさまざまな見解を載せ、超常現象、幽霊話、海賊誘拐、スパイ活動などさまざまな説が唱えられた。しかしいずれにしても、その主張を裏付ける証拠はまったく得られなかった。

 その後の調査で彼らの1人、トーマス・マーシャルは以前、強風で機材が流された際に5シリングの罰金を科せられていたことがわかった。おそらく再度の罰金を免れるために、彼とジェームズ・デュカットは嵐の最中に外へ出て用具入れの箱を回収するか固定しようとして、その結果流されたというケースが考えられる。

 規則では灯台の中には常時1人以上が残っていなければならなかったが、帰りが遅い彼らを心配して外に出たマッカーサーは同僚たちの窮状を発見して助けようとしたが、結局3人共海に流されたのではないかというシナリオも成り立つ。

 さらには伝えられるところによると、マッカーサーは気性の激しい性格で、崖の端近くで喧嘩が勃発し、3人が転落して死亡した可能性があるとの説もある。

 別の説では2人のうちの1人(おそらくマッカーサー)が発狂し、ほかの2人を殺害し、その死体を海に投げ込み、その後自らも海に飛び込んだのだと説明する。また最近の仮説の中には、宇宙人による誘拐など、超常現象に関連するものもある。

 120年以上前の失踪事件であり、残念ながら真相は藪の中のままであるとしか考えられないが、孤島の灯台という状況の希少さも相まって、今も色褪せない興味深い未解決事件がこの「アイリーン・モア灯台事件」である。

参考:「Anomalien.com」ほか

アイリーン・モア灯台事件を題材にした映画「バニシング」

画像は「Amazon」より
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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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