世界の終末を予言した!?ファティマの聖母と第三の秘密とは・・・あの日、何が起きたのかに迫る

 元外交官であり、かねてよりTOCANAで宇宙人・UFOに関連する記事を執筆いただいている羽仁礼氏が、外交官時代に世界中のオカルト遺産を訪れて記録した書籍「世界のオカルト遺産 調べてきました(松岡信宏名義)」が彩図社より発売されている。エジプトからオーストラリア、果てはカリブ海まで足を運び、実際にオカルト遺産を検証している極めて貴重な書籍である。今回、特別に使用許諾をいただいたので、TOCANA編集部おすすめの話題を抜粋して紹介したい。第一回目の今回はオカルト界でも伝説となっている「ファティマ第三の秘密」だ。(TOCANA編集部)

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外交官が超常現象の現場を検証 世界のオカルト遺産 調べてきました

●カトリック教会の公認の奇蹟「ファティマ第三の秘密」

 奇現象には、終末予言というものがある。人類滅亡、あるいは人類の大部分が死滅しかねない大災害に関する予言のことである。

 ユダヤ教、キリスト教、そしてイスラム教では、唯一絶対神が世界を創造した、と信じられている。始まりがあれば、当然終わりもあるということで、これらの宗教では強弱の違いこそあれ、「最後の審判」や「ハルマゲドン(世界終末戦争)」といった観念が共有されている。

 世界はいつ終わるのか。過去に終末の日を予言する者が何人も現れたが、その中でも変わり種と言えるのが、「ファティマ第三の秘密」だ。

「ファティマ第三の秘密」は、1917年にポルトガルのファティマに現れた聖母マリアが、目撃者となった3人の子どもに授けたとされる予言である。このとき聖母マリアは「地獄の実在」「第一次世界大戦の終結と第二次世界大戦の勃発」、そして第三次世界大戦にまつわる〝第三の秘密〟を予言したとされる。

 聖母マリアが「1960年まで公開してはならない」と告げたこともあり、第三の予言の内容は教会によって厳重に秘匿されてきた。そして1960年、ついに公開のときを迎えたが、直前になって中止される。一説には内容を知った教皇のヨハネ23世が恐ろしさのあまりに気絶したから、とも言われる。

 カトリック教会が公開をためらう秘密とは何なのか。ファティマ第三の秘密は、その後も人々の興味を集め、多くの書物が出版されてきた。1981年にはオーストラリア人のトラピスト会修道士ローレンス・ダウニーがアイルランド国際航空機をハイジャックし、バチカンに対して第三の秘密の公開を要求する、といった事件も発生している。

●ファティマの聖母出現事件

 ファティマで聖母マリアの姿を目撃したのは、3人の羊飼いの子どもたち、ルシア・ドス・サントスと従弟のフランシスコ・マルト、それに妹のヤシンタの3人であった。

 1917年5月13日、3人は羊を追って、コバ・ダ・イリアと呼ばれる窪地にきた。そこで突然、天に閃光が見えた。天候の悪化を恐れた3人は、羊の群を連れて家に帰ろうとしたが、すぐに二度目の閃光を見た。そのとき、眼の前にあったトキワガシの若木の上に、若い女性の姿が見えた。女性は白い衣装に身を包み、太陽よりも眩しく、周囲に光を放っていた。

「恐れることはありません。あなたがたを傷つけるようなことはしません」

 その女性が3人に語りかけた。

 最年長のルシアがおそれながらも問いかけた。

「あなたは、どこからこられたのですか」

「私は、天国からきました」

「私たちに、なにかお望みなのですか」

「毎月13日、同じ時間にこの場所にきてください。そのうち私が誰か教えましょう」

 子どもたちと女性の間では、このような会話がなされたという。

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イメージ画像 Created with DALL·E

 子どもたちは約束を守って毎月13日にコバ・ダ・イリアを訪れた。子どもたちの話を信じる者ばかりではなく、なにか悪い霊に惑わされたのではないかと心配する者もいた。8月13日には、地方の行政長官が3人を拉致したため、コバ・ダ・イリアを訪れることができなかった。だが、3人は普段からとても聞き分けがよく、信心深かったので、次第に周囲の人々は3人のことを信じるようになっていた。

 時を経るごとに、奇蹟の現場を見ようとトキワガシの若木に集まる群衆の数は増えていった。しかし、聖母の姿を見ることができたのは3人の子どもたちだけだった。

 最後の出現となった1917年10月13日、その日は朝から土砂降りの雨だった。それにもかかわらず5万人、一説には7万人ともいわれる大群衆が、コバ・ダ・イリアに集まった。7月13日の3回目の出現の際、聖母は10月13日に奇蹟を見せると約束していた。その話が広まった結果でもあった。

 聖母の出現とともに雨が突然上がり、太陽が姿を見せた。

 その時、ルシアが天を仰いで叫んだ。

「太陽を見て!」

 そこには、銀色に輝く太陽があった。それが大群衆の頭上で踊るように回転したり、ジグザグ運動を繰り返した後、天に昇っていったのだ。

●聖母は終末を予言したのか?

 子どもたちが、聖母から三つの秘密を伝えられたのは、7月13日の三回目の出現のときだった。一般には、最初の一つが第一次世界大戦の終結であり、二番目が第二次世界大戦の勃発であると信じられている。第三の秘密は2006年まで非公開のままだったが、第三次世界大戦の発生、ひいては人類の滅亡を予言したものという憶測が根強く広まっていた。

 こうした予言や、太陽の乱舞という現象を、どのように解釈したらよいのだろう。

 まずは「第一次世界大戦の終結」と「第二次世界大戦の勃発」の予言である。

 この二つの予言については、1941年にルシアが著した手記に「間もなく戦争は終わるが、人々が神に逆らうことを止めないなら、さらに恐ろしい戦争が起こる。夜に見たこともないような光が見えたら、それが前兆になる」と書かれている。

 実際に第二次世界大戦が始まる前の1938年1月26日、ヨーロッパ上空で奇妙な発光現象が起きている。これを根拠に、第一次世界大戦の終結と奇妙な光、その後の第二次世界大戦の勃発という一連の予言が、見事に的中していると主張する者もいる。

 第一と第二の秘密が、第一次世界大戦終結と第二次世界大戦であるとすれば、未公表の第三の秘密は当然第三次世界大戦に関するものと考えたくなるだろう。実際、ファティマ第三の予言を扱う書籍のほとんどは、第三次世界大戦を予言したものだと主張してきた。ところが、2006年6月、ローマ教皇庁が発表した第三の秘密の内容は違っていた。

 その内容は、「白い衣を着た司教のような人物が司祭や修道女を引き連れて山を登り、頂上の十字架に跪いて祈りを捧げたところを、一団の兵士によって殺害される」という抽象的なもので、教皇庁はそれを1981年5月13日にバチカンで発生したローマ教皇ヨハネ・パウロⅡ世の暗殺未遂事件を予言したものと解釈している。

 じつは、第一の秘密と第二の秘密が何なのかについては、世間では誤解があるようである。前述した手記でルシアが述べたところでは、第一の秘密は「地獄のビジョン」であり、第二の秘密は「聖母への献身」ということだ。二つの世界大戦に関わる部分は、この二番目の秘密の一部であり、聖母はこの予言を通じて聖母への献身を呼びかけたのだという。だとすれば、第一の秘密が第一次世界戦終結であり、第二の秘密が第二次世界大戦であるとして、第三の秘密を第三次世界大戦と結び付ける論法は成立しないことになる。しかし、それでもいまだに教皇庁は本当の秘密を公開していないという主張も根強い。

 それでは、1917年10月13日に目撃された、乱舞する太陽についてはどうだろう。

 以前、スペイン語を専門とする同僚と、ファティマの事件について話したことがある。彼は熱心なカトリック教徒だったが、ポルトガルでは土砂降りの雨が突然上がって急に晴天になることがよくある、と述べて、懐疑的な見方を示していた。

 たしかに、宗教的に高揚した気分で、しかも何か奇蹟が起こるものと強く期待して集まった群衆が、雨が突然上がって太陽が姿を見せたときに、そろって特殊な心理状態に陥ることはあるかもしれない。『英語世界の俗信・迷信』(東浦義雄ほか、大修館書店)という本によると、西洋には復活祭の朝、太陽がさまざまに色を変えて踊りながら空にのぼるとの伝説もあるそうだ。ファティマでの現象には、この俗信が何らかの影響を与えていた可能性もある。

 ただし、キリスト教の復活祭は4月なのに対し、ファティマの事件は10月なので、時期は合わない。また、事件が広まった後ではあるが、離れた場所からこの現象を見たという証言も得られている。事件については当時の新聞も報じており、空を見上げる人々の写真も載っているから、少なくとも何か不思議なことが起きたのは確かだろう。

 なお、UFO研究家の中には、人々が見た乱舞する太陽は、じつはUFOだったとする者もいる。

続きは「世界のオカルト遺産 調べてきました」でご覧ください。

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文=羽仁礼

一般社団法人潜在科学研究所主任研究員、ASIOS創設会員、 TOCANA上席研究員、ノンフィクション作家、占星術研究家、 中東研究家、元外交官。著書に『図解 UFO (F‐Files No.14)』(新紀元社、桜井 慎太郎名義)、『世界のオカルト遺産 調べてきました』(彩図社、松岡信宏名義)ほか多数。
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