リアル“イカゲーム”? 中国の奇妙な隔離チャレンジの闇!3秒以上顔を隠すと…?

画像は「Daily Star」より

 2010年代を風靡した中国経済だが、コロナ禍以降は消費の低迷が報じられている。市井の人々にとって住宅ローンなどの債務が重くのしかかる中、一攫千金を標榜するリアルな“イカゲーム詐欺”が登場していて話題だ。

■景気低迷下の中国で“イカゲーム詐欺”が横行?

 Netflixのヒットシリーズ『イカゲーム(Squid Game)』は中国でも人気なのだが、中国のSNSではこのイカゲームのシステムをベースにした奇妙な“隔離チャレンジ”が競われているという。

 中国の複数の報道機関によると、この隔離チャレンジは部屋の中で26日間、常に自分の姿をライブ配信しながら過ごすというチャレンジで、トイレ休憩は1日15分以内、目覚まし時計に1日2回以上触れないことなど細かいルールが設定されていて、ルールに抵触した時点で失格となる。ルールに抵触せずに26日間を過ごすことで、賞金約1850万円を獲得できることが提示されている。

 主催者に登録料として約15万円を支払って参加したチャレンジャーは、午後10時から午前6時まで部屋のすべての照明を消して真っ暗な闇に包まれ、その時間帯には1日1回しか照明のオンオフができないという。

 チャレンジャーのすべての動きはライブ配信され、26日間の間にカメラを隠したり、動かしたり、電源を切ったりすると失格となる。さらに難しいのは、たとえ消灯中だとしてもチャレンジ中は3秒以上顔を覆うことが禁止されていることだ。

 スマホの使用は許可されているが、特定の制限時間があり、使用中は常にカメラに映っていなければならない。部屋には飲んではいけないビールも置かれているため、一部の人々から“自制心チャレンジ”とも呼ばれている。

 賞金は日数に比例し、チャレンジ3日間を達成すると約15万円と登録料を元戻せて、6日間で約60万円、9日間で約120万円、12日間で約190万円元と増額され、26日間最後まで耐えられれば約1850万円を獲得する。賞金の原資となっているのは個々の参加者の登録料であり、まさにイカゲーム的な生き残りゲームということになる。

 体力を必要としない簡単なチャレンジのようにも思う者は多そうだが、まさに“言うは易し”で実際はきわめて困難なチャレンジであるようだ。

 ある参加者は24時間も経たないうちに顔を3秒以上覆って隠したと判定されて失格となり、再び15万円を支払ってチャレンジを再開した。

 しかしその後すぐに、ベッドを直している最中に3秒以上画面から外れたとして再び失格になった。

 それでも懲りずに再び登録料を支払って再度チャレンジしたのだが、今度は缶ビールをカメラから見えないように隠したと判定されて三度目の失格となった。

 彼は警察に相談し、詐欺ではないかと疑ったということだが、彼のほかにも相談は寄せられており、実際に新手の詐欺であることは周知の事実であったのだ。

画像は「YouTube」より

 ロイターによれば昨年10月、山東省の裁判所はこのチャレンジの契約が不公平で「公序良俗に反する」として、主催者に失格になった参加者の登録料を返金するよう命じた。

 裁判所は隔離チャレンジの参加者の一部が詐欺に遭っていると判断し、規制当局は疑わしい債務状況の改善を申し出るサービスについての注意を呼びかけるに至っている。

 この“隔離チャレンジ詐欺”の背景には人々の個人債務への危機感があり、中国の詐欺師たちはイカゲームを参考にして借金を抱えた人々を食い物にしている実態があると当局から警鐘が鳴らされている。楽して稼げそうに思わせる話は、特に景気低迷期にはくれぐれも気をつけねばならない。

参考:「Daily Star」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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