陰謀論を信じる人は意地悪!?最新研究が示す意外な心理

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 地球平面説や月面着陸捏造説など、近年、いわゆる陰謀論を信じる人が増えている。イギリスで行われた2023年の調査では、国民の3人に1人が「少なくとも1つの陰謀論を本当だと思っている」という結果が出たという。では、なぜ人は陰謀論に惹かれるのか。

 この疑問に答えるべく、スタッフォードシャー大学の研究チームが新たな研究を行った。その結果、陰謀論を信じる背景には「意地悪さ(スパイト)」が関係している可能性があることが分かった。

陰謀論と「意地悪さ(スパイト)」の関係

 研究を率いたデイビッド・ゴードン博士は、「人が競争において不利だと感じたり、脅威を感じたりすると、意地悪な心理的動機が生まれる」と指摘する。「これは、他者を引きずり下ろすことで、自分の立場を相対的に向上させようとする心理だ」とのことだ。

 陰謀論は、こうした心理を満たす手段になり得る。例えば、専門家や科学的な合意を否定することで、「自分の方が真実を知っている」と感じられるからだ。

陰謀論を信じやすい心理とは?

 研究チームは1000人を対象に3つの実験を行い、陰謀論を信じる心理的要因と「スパイト」の関係を調査した。分析の結果、次の3つの動機が関係していることが分かった。

世界を理解したい欲求(認識的動機):複雑な現象にシンプルな説明を求める心理。

安全を求める欲求(生存的動機):危険や不安から身を守りたい心理。

社会的な承認を求める欲求(社会的動機):自分が特別であると感じたい心理。

 これらの動機が強い人ほど、スパイト的な行動をとりやすくなり、結果として陰謀論に傾倒しやすいことが示された。

陰謀論対策に必要なのは「事実」より「社会の安定」?

 バーミンガム大学のメーガン・バーニー博士は「人は意識的に意地悪になりたくて陰謀論を信じているわけではない」と指摘する。しかし、「社会的不公平や不安定さがスパイト的な心理を刺激し、結果として陰謀論を受け入れやすくする」のだという。

 従来、陰謀論への対抗策としては「正しい情報を提供する」ことが重視されてきた。しかし、この研究では「社会的・経済的な不安を解消することこそが陰謀論を減らす鍵になる」と示唆されている。

 ゴードン博士は「陰謀論の広がりを止めるには、単に誤情報を訂正するだけでは不十分だ。貧困や格差といった社会的問題に取り組むことが必要だ」と結論づけている。

 荒唐無稽な陰謀論を信じる人が周りにいたら、単に「それは間違いだ」と否定するのではなく、なぜ彼らがそう思うのか、その背景にある心理や社会的要因にも目を向ける必要がありそうだ。

参考:Daily Mail Online、ほか

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文=深森慎太郎

人体の神秘や宇宙の謎が好きなライター。未知の領域に踏み込むことで、日常の枠を超えた視点を提供することを目指す。

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