冥界か?発電所か?「ケツァルコアトル神殿」の“水銀トンネル”が語る古代文明の謎

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画像はUnsplashjonathan ocampoより

 メキシコの古代都市遺跡にあるピラミッドの下には冥界へと通じる“入口”があるのか――。ケツァルコアトルの神殿のミステリーが再び注目を集めている。

■神殿の地下は“冥界”へ通じている!?

 メキシコの古代都市テオティワカンにあるケツァルコアトルの神殿は1800年前から1900年前に建てられたと考えられており、この謎めいたピラミッド型の建造物は、古代の発電所であったことやUFOのエンジンであったなど、さまざまな陰謀論が語られている。2003年にはこのケツァルコアトルの神殿の地下に東西に延びる巨大なトンネルがあることが判明した。

 メキシコの考古学者、セルジオ・ゴメス氏は2015年、1800年以上も封印されていた長さ100メール以上もあるトンネルの端にある部屋で大量の液体の水銀を発見したと発表した。この発見によりゴメス氏はテオティワカンの古代文明ではこの神殿を「超自然界を観察する」ために使用していたのだと説明した。

 大量に発見された希少かつ有毒な水銀は光沢を放ち水や鏡のように反射する性質を持っているが、ゴメス氏はテオティワカン文明は、未知のメソアメリカの支配者のための“冥界”への入口として、この部屋を水銀の池で満たしたと確信しているという。

 テオティワカン文明は“冥界”へ行く方法を知っていたのだろうか。

 研究者たちは水銀のほかにも、絶縁性を持つ光沢のあるケイ酸塩鉱物である雲母(マイカ)も発掘した。

 ゴメス氏のチームは当時、これら2つの材料は入念な儀式で使われていた可能性が高いと示唆していたが、最近の推測では水銀と雲母は実際には建造物内部のエネルギー生成装置の重要な部品であったのではないかと考えられている。

 これまで考古学者らが水銀の“川”を発見したのは、世界でもう一つのピラミッド型建造物である中国の秦の始皇帝陵のみであり、古代建造物において水銀が何を意味し、どのように用いられていたのかはよくわかっていない。

 一方、科学者たちは、エジプトのギザの大ピラミッドが宇宙からのエネルギー波を増幅する能力があったことを示す証拠を発見し、ピラミッドが実際には古代の発電所であったかどうかを確認する研究を行っている。

 とすればケツァルコアトルの神殿もまた発電所であったのか。

 現時点ではケツァルコアトルの神殿のほかにメソアメリカ全域の探検隊は、オルメカ遺跡の1カ所とマヤ遺跡の2カ所で、ごく微量の水銀の痕跡が発見されている。

 この発見が奇妙なのは、テオティワカン付近の雲母の主な産地のひとつが、およそ7400㎞離れたブラジルにあるという事実だ。

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イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI)

 さらに水銀は自然界に液体の形で存在しないため、古代メソアメリカ人は、辰砂(しんしゃ)と呼ばれる鉱物(固体の硫化水銀でできた淡い赤色の石)から水銀を抽出していたのだが、この作業はきわめて困難で危険なプロセスであった。

 具体的には水銀が溶け出すまでこの鉱物を加熱したはずだが、その後、この猛毒の水銀をピラミッドのトンネルの奥深くまでどうやって安全に運んだのだろうか。

 ケツァルコアトルの神殿の“発電所説”を信じる人々は、考古学者はテオティワカンの支配者が誰であったかを特定したことがなく、古代都市のどこにも墓や埋葬室がないことを指摘している。

 王の部屋が存在しないことから、雲母と水銀は最初の発電所が発明される1700年以上前に作られた機械式エネルギー装置の部品だったのではないかという憶測がさらに高まった。そして「古代宇宙飛行士説」に結びつけて地球外文明からもたらされた発電技術であることを示唆する声もあるようだ。

 しかし王の部屋や墓がないということは、やはり王は死を前にして“冥界”へと旅立ったからなのかもしれない。ケツァルコアトルの神殿の謎はむしろさらに深まったのだろうか。

参考:「Daily Mail」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
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