ワシントンDC上空に“謎の筋”、UFOか? レーダーが捉えた異常現象の正体とは

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画像は「Daily Mail Online」より

 ワシントンDCの上空で奇妙な現象が観測され、一時騒然となった。木曜日の午後、気象レーダーの画面に、まるで何かを一直線に発射したかのような謎の筋が映し出されたのだ。この不可解な映像は瞬く間にSNSで拡散され、「気象兵器によるものか」「もしやUFOでは?」といった憶測が飛び交い、ちょっとしたパニックを引き起こした。

 この異常現象が捉えられたのは、ちょうどワシントンDC一帯が激しい雷雨に見舞われていた時間帯。1時間にわたって豪雨と突風、そして雷が猛威を振るっていた、まさにその最中だった。レーダーに映った筋は、雨や雪、雹といった通常の気象パターンとは明らかに異なり、くっきりとした直線を描いて画面を横切っていた。一体、これは何だったのだろうか。

専門家が解き明かす「謎の筋」の正体

 オンラインで混乱が広がる中、一人の気象学者がこの謎に明快な答えを示した。レーダーアプリの専門家であるマシュー・カプッチ氏によると、この奇妙な筋は気象現象や未知の物体によるものではないという。

 彼の説明によれば、これはレーダーの特性によって生じる「アーティファクト(偽像)」である可能性が高いとのこと。レーダー基地の近くにある給水塔や携帯電話の電波塔といった物理的な構造物が、レーダーの電波を遮ったり反射したりすることで、実際には存在しないものが映像に映り込んでしまうことがあるのだ。これはレーダーシステムではごく一般的に起こりうる現象で、鳥の群れや蝶、飛行機、時には流星さえも捉えることがあるという。

 この専門的な解説に、発端となった投稿者も納得した様子を見せた。しかし、SNS上では「それは気象学者のふりをしたCIAの発言に違いない!」といった冗談めかしたコメントも見られ、人々の想像力をかき立てたようだ。

猛威を振るった嵐の爪痕

 謎の物体の正体は一応は解き明かされたが、その背景にあった嵐が現実に残した爪痕は深刻だった。ワシントンDCとその周辺地域では、時速100kmを超える突風によって木々がなぎ倒され、家屋や車を直撃。数万世帯が停電に見舞われ、電力会社のクルーが昼夜を徹して復旧作業にあたった。

 この巨大な嵐はニューヨーク市にも被害をもたらした。セントラルパークでは、友人たちとピクニックを楽しんでいた15歳の少年が落雷に遭うという痛ましい事故も発生した。彼は木にもたれかかっていたところを雷に打たれ、数分間意識を失ったという。幸いにも神経に損傷はなく、火傷の治療を受けて無事に回復に向かっている。

 アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によれば、米国では落雷による死者は年間約30人だが、落雷に見舞われても約90%の人は命を取り留めるという。今回の出来事は、嵐の恐ろしさと、時に起こる奇跡の両方を私たちに教えてくれるものとなった。

 謎の現象は科学的な説明で一件落着、というわけだ。それでも、嵐の夜に空が描いたあの一本の線は、しばらく人々の記憶に残りそうである。

参考:Daily Mail Online、ほか

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