60年前に“死んだ”はずの衛星から謎の巨大パルス信号が発生、その強さスマホの1000億倍

地表から4500km上空の衛星軌道上から前代未聞の巨大パルスが発生した――。
■60年前のスクラップ衛星から巨大パルス信号
2024年6月13日、西オーストラリアの電波望遠鏡「Australian Square Kilometre Array Pathfinder」が上空で特異な放射反応を検知した。それは30ナノ秒未満で、分析の結果、深宇宙からではなく軌道上から来ていることが示された。
信号の位置から、その発生源はNASAの運用停止した古い衛星であることが示唆されたが、これは全く予想外のことだった。
NASAの通信衛星「リレー2号(Relay 2)」は1964年に打ち上げられたが、残念ながら機器の不具合により1965年9月に運用を停止し、中継器は1967年まで機能していたが、その後は音信不通となった。
60年以上も宇宙ごみとして衛星軌道上をさ迷っていたスクラップ衛星がなぜ大出量パルスを放出したのか。
専門家はこの信号は衛星によって意図的に送信されたのではなく、外部の出来事によって引き起こされたと考えている。
一つの可能性は静電放電である。これは地球の磁場の中を周回する衛星が電荷を蓄積することで引き起こされる、火花に似た電気エネルギーの突然の放出である。
別の説では、高速で移動する小さな岩石である微小隕石がリレー2に衝突し、熱と荷電粒子の爆発を引き起こし、短時間だが強力な信号を発した可能性が語られている。この信号は地球の表面から約4500㎞上空から発信されたものだった。
「我々は新しいパルサーか、これまで見たことのない物体を発見したかもしれないと思った」とカーティン電波天文学研究所の主任研究員で准教授のクランシー・ジェームズ博士は科学誌「New Scientist」に語った。
「その代わりに、私たちは一瞬の間、空のすべてを覆い隠す信じられないほど強力な電波パルスを観測しました」(ジェームズ博士)
わずか30ナノ秒しか持続しなかったにもかかわらず、この電波バーストは非常に強力で、科学者たちはその強度を電波の強度を表す単位であるジャンスキーで300万以上と推定した。 これは一般的なスマートフォンからの無線信号のおよそ1000億倍の強さだ。
これは地球の近くで記録された同種の信号の中で最速かつ最も強力な信号となるものだ。

「これは静電放電や微小隕石の衝突のような外部からの誘因によって引き起こされたに違いありません」(ジェームズ博士)
この信号は天文学界に騒動を引き起こしたが、懸念も引き起こした。
多くの望遠鏡は遠く離れた銀河からの信号を探して空をスキャンしており、近くの機能していない衛星からの予期せぬバーストは混乱を引き起こしたり、誤った発見につながる可能性が指摘されることになったのだ。
それでも、一部の科学者は明るい兆しを見出している。ブリストル大学の宇宙天気専門家、カレン・アプリン博士は、この予期せぬ発見は、宇宙における電気活動を研究するための新たなツールにつながる可能性があると述べた。
「最終的には、軌道上の静電放電を評価するための新しい技術が提供される可能性がある」(アプリン博士)
運用を終えたスクラップ衛星が突然このような強力なパルスを発する可能性があるとすれば、増え続ける宇宙ごみの問題に今後ますます懸念が深まってくるだろう。宇宙ごみの削減に向け、一刻も早い対策が求められている。
参考:「Daily Mail」ほか
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2024.10.02 20:00心霊60年前に“死んだ”はずの衛星から謎の巨大パルス信号が発生、その強さスマホの1000億倍のページです。NASA、人工衛星、シグナル、宇宙ごみなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで