イエローストーンに開いた「不気味な青い穴」 破局的噴火の前触れか、ただの自然現象か

アメリカのイエローストーン国立公園で、新たに不気味な穴が出現し、地下に眠る「スーパーボルケーノ(超巨大火山)」が噴火の時を迎えようとしているのではないか、という懸念が広がっている。
この穴が発見されたのは、園内でも特に熱く、活動が活発なことで知られる「ノリス間欠泉盆地」。アメリカ地質調査所(USGS)によると、直径約4メートルのこの穴は、2024年のクリスマス頃から数ヶ月かけて形成されたという。
イエローストーンは世界最大級の活火山の一つだ。もしこれが大規模な噴火を起こせば、アメリカ国土の3分の2が火山灰に覆われると試算されている。有毒な空気が全土を覆い、航空便は麻痺し、数百万人が避難を余儀なくされるという、まさに破局的なシナリオだ。
4ヶ月前にも新たな噴気孔が発見されたばかり。相次ぐ異変に人々は固唾をのんで見守っている。

美しくも不気味な「青い泉」の正体
USGSが公開した写真を見ると、その穴は泡立つ火山活動の中心にありながら、驚くほど静かな泉の姿をしている。異星の風景を切り取ったかのような淡い青色の水と、輝くような白い砂(シリカ質の泥)。それは不気味なほど美しい光景だ。
専門家は、この穴が「熱水爆発」によって形成されたと結論づけている。これは、地下水がマグマの熱で急激に沸騰し、水蒸気爆発を起こして水や泥、周囲の岩石を吹き飛ばす現象だ。
衛星画像の分析によると、穴は一度の巨大な爆発でできたわけではないらしい。2024年12月19日の時点では何もなかった場所に、翌年1月6日には小さなくぼみが確認され、2月13日には完全に水で満たされた泉が形成されていた。これは、複数回の小規模な爆発が断続的に起きたことを示唆している。

専門家は冷静「噴火が近いとは言えない」
では、いよいよ大噴火が近いのだろうか。多くの人がそう心配する中、専門家は冷静な見方を示している。
リーズ大学の地質学者、クレイグ・マギー博士は「イエローストーンで熱水活動が起きるのは日常茶飯事だ」と語る。この地域では、小さな地震やわずかな地盤の変動は常に記録されているからだ。
「今回の熱水爆発のような一つの出来事だけで、火山活動の活発化や噴火の接近を示すことにはなりません。これは、地下に活発なマグマシステムが存在することを示す、数ある“症状”の一つに過ぎないのです」と博士は説明する。
もし、熱水爆発が「群発」し、それに加えて地震活動や地盤変動が著しく増加するようなことがあれば、それは活動レベルが上昇している危険なサインかもしれない。しかし、今のところそのような兆候は見られないという。火山の活動は、そう単純なものではないのだ。
巨大火山と共存するということ
私たちが思い浮かべる円錐形の火山とは異なり、イエローストーンの火山本体は広大な地下に広がっている。その下には、溶岩や有毒ガスをたたえた巨大なマグマだまりが今も脈打っているのだ。
最後の巨大噴火は約63万年前。周期的に見れば、いつ次の噴火が起きてもおかしくないという声もある。しかし、今回の穴の出現が、その引き金になるわけではないようだ。
とはいえ、油断は禁物だ。この美しい泉の水は、塩分濃度が高かったり、強酸性だったりする可能性がある。年間400万人の観光客が訪れるこの場所は、壮大な自然の美しさと、いつ牙を剥くかわからない危険性が常に隣り合わせの場所なのである。
参考:Daily Mail Online、ほか
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2024.10.02 20:00心霊イエローストーンに開いた「不気味な青い穴」 破局的噴火の前触れか、ただの自然現象かのページです。火山、破局噴火、イエローストーンなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで