人身売買組織に誘拐され、ダークウェブで競売にかけられたモデルが“犯人を手玉に取って”生還した方法とは

ダークウェブで暗躍する人身売買組織に誘拐された女性モデルはどうやって絶体絶命の窮地を脱したのか――。彼女を救ったのは当人の人としての魅力と“説得力”であった。
■誘拐され売られる寸前だった美人モデル
2017年7月11日、イギリス人モデルのクロエ・アイリーンは滞在先のイタリア・ミラノで誘拐された。
偽りの写真撮影の現場にやって来た彼女に麻酔薬を投与して誘拐したのは、ダークウェブで暗躍する人身売買組織「ブラック・デス」であった。
眠らされた彼女はトランクケースに詰め込まれて監禁場所に運ばれ、“MD”と呼ばれる男の監視下に置かれた。「ブラック・デス」は誘拐した女性をダークウェブ上のオークションを通じて売買している。
しかしそのオークションの前にMDはクロエのマネジャーに連絡し、身代金を要求したのだった。
クロエのマネジャーはすぐに警察に連絡し、ロンドン警視庁とイタリア警察はただちに捜査を開始した。
監禁中、クロエはどう過ごしていたのか。
クロエは悲観に暮れたりパニックに陥っても状況は悪化するだけだと固く信じ、自分の感情をコントロールすることに集中したという。
クロエによると、自分の落ち着いた態度はMDに予期せぬ影響を及ぼしたことに気付いたという。MDの自分を見る目に変化が訪れていたのだ。MDはクロエに恋愛感情を抱き、彼女の歓心を買おうとアプローチしてくるようになったのである。
クロエは今の危機を脱するチャンスを得たことになるが、難しい舵取りを迫られることにもなった。彼の誘いを頑なに拒否して怒らせてはならないが、そうかといって性行為に繋がる要求を受け入れることもできなかった。
彼女はひどく気分が落ち込んでいてキスをする気になれないのだと弁解し、その一方で彼には解放してくれた場合の関係性をそれとなく示唆した。つまり解放後には男女の関係になれると騙したのだ。
実はシングルマザーであることなど身の上話も延々と語り続けた末に、遂にクロエの“説得”は成功した。MDは彼女を解放することにしたのだ。もちろんMDは解放後にイギリスで落ち合い、新たな関係をスタートさせることを念頭に置いていた。
7月17日、MDはクロエを車に乗せてミラノのイギリス領事館に向かった。領事館前でクロエを降ろして解放する手筈であったが、実はこのMDの動きは警察によって把握されていたのである。
車が領事館の前に着き、クロエが車を降りると、待ち受けていた警察によってMDは逮捕された。

MDはイギリス在住でポーランド国籍のルーカス・ヘルバという男で、2018年6月に裁判にかけられ懲役16年9カ月が課された。一部からはクロエの今回の件は人気取りのための“自作自演”なのではないとの疑い持たれたが、ヘルバに重い実刑判決が下ったことでその疑惑は薄まったようだ。
クロエはMDを騙したことになるが、そもそも誘拐した罪は重い。ともあれ犯人に解放を決意させたクロエの“説得力”は見事というしかないだろう。
参考:「Misterios do Mundo」ほか
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2024.10.02 20:00心霊人身売買組織に誘拐され、ダークウェブで競売にかけられたモデルが“犯人を手玉に取って”生還した方法とはのページです。人身売買、監禁、誘拐、ダークウェブなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで