NYで最も有名な心霊スポット『チェルシーホテル』― セレブが愛した“呪われた館”の噂と真実

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By EpicgeniusOwn work, CC BY-SA 4.0, Link

 有名人の霊が“出る”というその筋では有名なホテルが米ニューヨーク・マンハッタンにある。19世紀末に建てられた由緒あるホテルでは幾多の心霊現象や超常現象の噂が今も語り継がれている――。

■噂が尽きない“出る”老舗ホテル

 ニューヨーク・マンハッタンにはジョン・レノンが住んでいたダコタハウスなど歴史のある居住施設がいくつもあるが、ロウアー・マンハッタンのチェルシー地区にある「チェルシーホテル(Hotel Chelsea)」はかねてから多くの芸術家、知識人、音楽家たちの安息の地となっていた。

 1884年に建てられたこのホテルは、ゴシック・リバイバル様式とビクトリア朝様式が組み合わさったデザインの建築で、当初は高級共同住宅として設計された。ここで最期を迎えた著名人も少なくなく、彼らの一部の霊は今でも“出る”のだという。

●ディラン・トマス(1914-1953)

 英ウェールズの詩人、ディラン・トマスは1953年にチェルシーホテルに滞在した。

 滞在中のある日、彼は大量のアルコールを摂取した後、昏睡状態に陥り、残念ながら数日後に病院で亡くなった。それ以来、廊下で彼が揺らめきながら立っている姿を見たり、夜の静寂の中で低い声で詩を朗読するの彼の声を聞いたといった証言が数多く寄せられている。

●ナンシー・スパンゲン(1958-1978)

 1978年10月12日、イギリスのパンクロックバント「セックス・ピストルズ」のシド・ヴィシャスのパートナー、ナンシー・スパンゲンが100号室で刺殺されているのが発見された。彼女の死は今もなお謎に包まれている。

 宿泊客や従業員は、部屋に入ると説明のつかない悲しみが押し寄せてきたり、壁の向こうからくぐもった泣き声が聞こえたりしたと報告している。部屋のベッドに腰かけたブロンドヘアの顔面蒼白の若い女性を見たという宿泊客もいる。

●クリエイターの“たまり場”

 チェルシーホテルは数十年にわたりクリエイティビティの温床であり、マーク・トウェイン、アーサー・ミラー、テネシー・ウィリアムズといった作家、ジャクソン・ポロックといった画家、そしてボブ・ディラン、パティ・スミス、レナード・コーエン、ジャニス・ジョプリン、ジミ・ヘンドリックスといったミュージシャンたちが、この場所にインスピレーションと安らぎを見出し、薄暗い照明の部屋で、傑作が書かれ、作詞作曲され、映画が構想された。

 しかし、このクリエイティブな世界には、欠点がないわけではなかった。薬物、痴情、喧嘩や仲違いなどのヒューマンドラマも絶えず繰り広げられ、一説によれば今も明かされていないここで起きたスキャンダルがいくつもあるという。

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ロビー(2010年) By Historystuff2Own work, CC BY 3.0, Link

●頻発する心霊現象

 かすかな影、ドアが勝手に開閉する音、壁を叩く音などの報告が度々報告されている。

 また夜間に所持品が不思議な動きをしたと話すいう訪問者も複数おり、ある元居住者は「長い黒いローブを着た人影」がゆっくりと階段を降りてきて消えていくのを見たと証言している。

●独特の雰囲気

 チェルシーホテルには独特の雰囲気があり、長く狭い廊下、薄暗い照明、軋む木製の階段が、どこか隔絶されたような雰囲気を醸し出している。2022年に改装され、高級ホテルへと生まれ変わった後も、多くの宿泊客から不気味な雰囲気が残っているという声があがっている。

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By Calton – No machine-readable source provided. Own work assumed (based on copyright claims)., CC BY-SA 3.0, Link

 訪れた霊能者の中には「エネルギーが溢れている」と指摘する者もいる。それは過去に宿泊した人物の人生の断片が今もなお空中に漂っているかのような様相であり、それぞれの部屋には、そこで繰り広げられた極限の感情、インスピレーション、情熱、衰退、絶望の痕跡が刻まれているというのである。

 現在のチェルシーホテルは、1960~70年代のアートやカルチャーの雰囲気を残すホテルではなくなっているが、その伝説は今も健在である。文化史、人間ドラマ、そして超常現象が織りなす、ニューヨークのランドマークとなっているのだ。

 偉大な芸術家の過去の栄光を垣間見ようと訪れる人もいれば、目に見えない存在の興奮を味わうことを期待して訪れるスピリチュアルな人々もいる。チェルシーホテルは壁が耳を澄ませているような、そして夜ごとに新たな秘密が明かされるような、特別な体験を提供する場所であり続けているようだ。ニューヨークを訪れた際には見物してみてもよいのだろう。宿泊できたならば一生の思い出になりそうだ。

参考:「Mysterium Incognita」ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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