9.11テロから24年、未だ1100人の身元が分からず… 保管庫に眠る“8000の骨片と組織”と終わらない悲劇

9.11同時多発テロから24年が経過した今も、世界貿易センタービルの崩壊による犠牲者の身元を特定する作業は、連綿と続けられている。しかしそれでもまだ1100人の身元が特定されていないのだ。
■新たに3人の911犠牲者の身元を特定
ニューヨーク市のOCME(Office of Chief Medical Examiner、主任法医学事務所)は先日、世界貿易センタービルにいた1100人の遺体の身元がDNA鑑定が不十分のため未だ確認されていないと発表した。
2001年9月11日、アルカイダのテロリストが2機の旅客機をハイジャックし、ニューヨーク・マンハッタンの2棟の世界貿易センタービル、いわゆる“ツインタワー”に激突させた。その結果、ツインタワーは崩壊し2753人(テロリスト除く)が死亡した。
事故直後から犠牲者の身元確認が行われているが、それでもまた1100人の身元が特定されていない。DNA分析技術は進歩してきたにもかかわらず、グラウンドゼロの廃墟から運び出された遺体の多くは劣化が進んでおり、科学者が遺族との遺伝子の一致を見つけられないケースが大多数なのだ。
テロ攻撃の後、現場のおよそ150万トンの瓦礫がトラックや船でグラウンドゼロからスタテン島のフレッシュキルズまで運ばれた。
「BMC Public Health」に発表された2011年の研究によれば、スタテン島でのふるい分けと分類の作業により、犠牲者から4257個の遺体の破片と5万4000個の私物が回収された。
OCMEのDNA犯罪研究所は先頃、長年にわたる法医学の進歩により新たに3人の身元が特定され、身元が確認された被害者の総数が1653人になったと発表した。

今年8月に行われた最新の検査で、ニューヨーク州フローラルパーク在住のライアン・フィッツジェラルドさん(当時26歳)、カリフォルニア州パームスプリングス在住のバーバラ・キーティングさん(当時72歳)、そして家族が匿名を希望する成人女性の身元が判明したのだ。
ニューヨーク市の主任検死官ジェイソン・グラハム博士は声明で「世界貿易センタービルの惨事から25年近くが経ったが、行方不明者の身元を特定し、愛する人の元へ返すという私たちの決意はこれまでと変わらず強い」と声明で述べた。
攻撃から24年経った現在でも、OCMEはグラウンドゼロからのもう一つの安全な遺体保管庫を維持している。
そこにはツインタワーから回収された身元不明の骨片や組織サンプル8000点以上が保管されており、専門家らはさらに多くのDNAの一致を見つけるために分析を続けている。
しかしOCME研究所が犠牲者の身元確認を妨げている要因は増え続けており、それを克服するためには、科学はDNA研究でさらなる飛躍的進歩を遂げる必要があるかもしれない。

OCME法医学生物学部の副部長マーク・デザイア氏は「火事、消火に使われた水、日光、カビ、バクテリア、昆虫、ジェット燃料、ディーゼル燃料、建物内の化学物質、これらすべてがDNAを破壊するのです」と身元特定の難しさを説明する。
デザイア氏はさらに、ニューヨークが911の身元不明犠牲者1100人の事件を解決できるよう、今後もこうした画期的な発見がもたらされることを期待していると述べた。
「DNAが見つからなかったサンプルを何度も繰り返し調べています。今は技術が進歩し、昨年にはできなかったことができるようになりました」(デザイア氏)
4半世紀が経とうとしている“911”だが、犠牲者の身元の特定が今もこうして前進しているのは興味深い限りだ。全員の身元を特定するのは困難を極めるとは思うが、最新の鑑定技術で今後も1人でも多くの犠牲者の身元が特定されることを願いたい。
参考:「Daily Mail」ほか
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