「神が住む山」「エリア51が見える山」… 法律や霊的タブーで登頂を永遠に拒む“禁断の5峰”の正体

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 登山は時に命がけの挑戦だ。それでも人間はあらゆる頂を制しようとし続けてきた。ところが、地球上には「絶対に登ってはいけない山」が存在する。法律で禁じられているもの、軍事機密が絡むもの、先住民族の聖地として厳守されているもの——理由はさまざまだが、どれも一筋縄ではいかない事情を抱えている。今回は、そんな”禁断の5峰”を紹介しよう。

世界最高の未踏峰「ガンカー・プンスム」——神が宿るゆえに永遠に未登頂

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 標高7570メートルを誇るガンカー・プンスムは、世界で最も高い「未踏峰」だ。いまだ人類が頂に立ったことのない最高峰、と言い換えてもいい。登山家なら誰もが夢見る「初登頂」の称号がそこにあるのに、手が届かない——そんな歯がゆさを抱えた山である。

 理由は宗教的なタブーにある。ブータン政府は1994年、標高6000メートルを超えるすべての山への登山を法律で禁止した。山には神々が住まうとされており、高峰は聖域として扱われているためだ。1998年には日本の登山隊がチベット側からの登頂を試みたが、ブータン政府の抗議を受けて許可証が取り消され、山に足を踏み入れることすらかなわなかった。以来、誰もこの山の頂に立っていない。おそらくこれからも、そうであり続けるだろう。

エリア51を見下ろす「グルーム山地」——ネバダの軍事禁域

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By NortyNort at English Wikipedia, CC BY-SA 3.0, Link

 ネバダ州には無数のクライミングスポットがある。しかし「グルーム山地」だけは別だ。最高峰のボールド・マウンテン(標高約2847メートル)を含む六つの峰からなるこの山地は、1955年からアメリカ政府が管理する「ネバダ・テスト・アンド・トレーニング・レンジ」を見下ろす位置にある。

 かつて核爆弾の実験にも使われたこの広大な軍事施設の一角に、あの「エリア51」が存在する。その存在が公式に認められたのは2013年のことだが、UFOや宇宙人との関連を噂され続けてきた場所だ。グルーム山地から覗き見しようとしても、周辺は厳重に警戒されており近づくことすらできない。

 エリア51に最も近い登れる山は「ティカブー・ピーク」だが、そこからでも施設まで約42キロ離れており、双眼鏡を使ってやっと建物の輪郭が見える程度だという。なかなかの徒労感だが、それもまた軍の計算のうちなのかもしれない。

ナバホ族の聖域「シップロック」——「汚染」を招く禁断の岩峰

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Bowie SnodgrassShiprock, CC 表示 2.0, リンクによる

 ニューメキシコ州の荒野に突如そびえる奇岩「シップロック」は、大地から約483メートルも垂直に突き出た火山性の岩柱だ。ナバホ語では「ツェ・ビタイ」、意味は「翼を持つ岩」。その名の通り、荒削りの稜線が空に向かって翼を広げているように見える。

 かつてはロッククライマーの憧れの的だったが、1970年に3人が重傷を負う事故が起きたことをきっかけに、ナバホ・ネーション(ナバホ族の自治区)内のすべての一枚岩と岩柱への登山が禁止された。これは単なる安全上の措置ではない。ナバホ族のクライマー、レン・ネセファーはこう語る。「ナバホの世界観では、聖域での死はその空間を”汚染”してしまう」。

 しかし禁止後も違法登山は後を絶たず、1970年代初頭には実際に死者も出た。2006年にはナバホ・ネーション公園レクリエーション局が改めて声明を発表し、こう訴えた。「違法登山が招く物理的な危険以上に深刻なのは、部外者によってナバホの人々に与えられる宗教的ダメージだ」。文化と信仰を踏みにじる行為が、今もなお続いていることへの怒りがにじむ言葉だ。

マヨルカ島最高峰「プイグ・マホール」——軍のレーダーが今も山頂を占拠

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By Ingo Mehling – Own work, CC BY-SA 3.0, Link

 スペインのリゾートアイランド、マヨルカ島の最高峰「プイグ・マホール」(標高約1445メートル)は、数十年にわたってハイカーが立ち入れない山だった。1957年、アメリカ空軍がこの山頂に軍事基地を設置し、金色のドーム型レーダー施設を頂上に構えたためだ。

 米軍は1993年に撤退したが、今度はスペイン軍が引き継ぎ、山頂への一般立ち入りは禁止のまま継続された。唯一の例外が、「キル・ザ・ヒル」と呼ばれる自転車レースへの参加だ。2024年と2025年には数百人のサイクリストが山頂まで走ることを許可されたが、2026年大会はすでに中止が決定、今後の開催も見通せない状況だ。結果として、プイグ・マホールの頂は再び完全に「立入禁止」に戻った。軍のレーダーが、今日も静かに山上を守り続けている。

オーストラリアの聖なる赤岩「ウルル」——観光地化と聖域の間で揺れた半世紀

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By Ek2030372672Own work, CC BY-SA 4.0, Link

 オーストラリアの中央部、赤い大地のただ中に立つ「ウルル」(かつてはエアーズロックと呼ばれた)は、高さ約348メートルに達する巨大な砂岩の一枚岩だ。先住民族アナング(Aṉangu)の人々にとって、ウルルは古くから霊的な聖域である。

 ところが1930年代、オーストラリア国立観光協会がこの岩に登ることを観光資源として売り出し始めた。宣伝は成功し、やがて大勢の観光客が岩の急斜面を我が物顔で登るようになった。当然ながら侵食や廃棄物の問題が深刻化し、頂上にはゴミや人間の排泄物が放置されるありさまに。さらに過去には37人の死亡事故も記録されており、「登れるからといって登っていい場所」ではないことは、数字が物語っている。

 アナングの人々は長年にわたって登山自粛を求め続けた。1990年時点では訪問者の約70%が登頂を試みていたが、2010年には30%まで減少。そして2019年、ついに登山ルートは正式に閉鎖され、ガイドチェーンもすべて撤去された。観光地化から約80年を経て、ウルルはようやく聖域としての静けさを取り戻したことになる。日本でも富士山の混雑問題が議論されているが、「観光と聖地の共存」という難題は、世界共通のテーマなのかもしれない。

 人間は、目の前に高い山があれば登りたくなる生き物だ。だが、地球上のすべての頂が人間のために用意されているわけではない。時には「登らないこと」こそが、その山に対する最大の敬意となることもあるのだろう。

参考:Mental Floss、ほか

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