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【近年、ゲームや漫画のモチーフとして古代文明の神話が使われる機会が増えている。つい最近も人気スマホゲーム「Fate/Grand Order」でシュメール神話の女神エレシュキガルが取り上げられた。せっかくの機会、ゲームのキャラクターだけでなく、ぜひ原典となる神話にも触れてみるべきだとオカルトサイトとしては主張したい。そこで今回はエレシュキガルとシュメール神話について解説する。】

前回記事はこちら。

 前回に引き続き、「シュメール神話」及びそれを取り込み発展した「メソポタミア神話」に登場する女神、冥界の女王こと「エレシュキガル」についての神話をご紹介していきましょう。

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エレシュキガルと考えられている、冥界の女神像(諸説あり)。「バーニーの浮彫」と呼ばれている。画像は「Wikimedia Commons」より引用

 前回にてご紹介した2つの神話「イナンナの冥界下り」「イシュタルの冥界下り」から読み取れる、エレシュキガルの特性は以下の通りです。

・冥界という地の利もあるだろうが、戦いの女神であるイナンナ/イシュタルを圧倒する死の力を誇る
・姉妹仲は非常に険悪か?(妹の無礼に怒っているだけの可能性もある)
・エレシュキガル特有の武器や防具などの描写はない

 そして、残されたポイントは以下の通りです。

・美しい女神イナンナ/イシュタルの姉であり、また男神を簡単に誘惑しているところから、同等の美貌を持つ女神である可能性が高い
・底無しの性欲の持ち主
・小さな頃から遊びのひとつも知らずに育った、筋金入りの箱入り娘
・惚れた男には一途かつ従順。ただし逃げればどこまでも追いかけ、その手段は問わない

 今回はこちら、エレシュキガルの各種属性や性格が垣間見える、冥界の女王エレシュキガルと男神ネルガルの愛憎劇「ネルガルとエレシュキガル」の内容をご紹介していきます。


■第三の神話「ネルガルとエレシュキガル」

 こちらの物語はおおまかに「男神ネルガルが、エレシュキガルの使者に敬意を払わなかったことをきっかけに、なんやかんやと経緯を辿り、最終的にふたりは結ばれ、エレシュキガルの夫となったネルガルは冥界の王になる」というものです。

 メソポタミアの神話は、信奉者がいなくなり伝承を失ったものであるため、基本的には断片的に出土する物語を研究者たちが紡ぎ上げたものです。こちらは「アマルナ文章」と「アッシリア文章」のふたつが存在しているのですが、一方に欠けているものを一方が補完している、という面白い内容で、双方を合わせたものがひとつの物語として紹介されることがほとんどです。

 物語は天界の神々が宴を開いた折に、天界がエレシュキガルへ使者を送るところからはじまります。これは冥界から出られないエレシュキガルを案じたもので、「天界で宴席が開かれるから、そのご馳走のおすそ分けを冥界へ持ち帰る代理人を送ってほしい」という旨を伝えるものでした。

 これを伝言を持った使者は、イナンナ/イシュタルと同様に7つの門をくぐって冥界へ下るのですが、「門番、私のために門を開けろ」と大仰な言い方をする使者に対し、門番たちは「ようこそいらっしゃいました、どうぞお通り下さい」と、イナンナ/イシュタルの時とは全く異なる歓迎ムードです。

 こうして何事もなく、使者はエレシュキガルに伝言を伝えます。それを受けたエレシュキガルは神々の気遣いに大喜び、地上の神々の様子と近況をひとしきり訪ねた後、使者を天界へと向かわせました。

 ところが、エレシュキガルの使者が天界へと到着したとき、ひとりだけ使者に敬意を払わなかった神がいました。この報告を受けたエレシュキガルは怒りを露わにし、「その無礼者を私のところに連れてきなさい、私はそやつを殺してやります」と使者に命令したのです。

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