エレシュキガルの激しすぎる恋とセックスの神話が泣ける — メソポタミア冥界の女王の神話を徹底解説!(後編)
■ネルガルの冥界下り
エレシュキガルが自分を探している、と知ったネルガルは姿を隠しましたが、エレシュキガルは諦めず、使者に命じて何ヶ月も彼を探し続けました。やがて神々から「ネルガルをエレシュキガルのところへ連れて行け」と声が上がり、泣きながらも観念したネルガルは、父神からの守護のまじないとアドバイスを受け、冥界へと下って行ったのです。
このアドバイスは「運ばれてきた玉座に座ってはいけない」「パンや肉、ビールを出されても口にしてはいけない」「足を洗う水を出されても洗ってはいけない」、そして「エレシュキガルが湯浴みに行って、身体を露わに見せて誘惑しても、男女のしぐさをしてはいけない」というものでした。
ネルガルは冥界の門をくぐることを許されながら、エレシュキガルの元へと下っていきます。一方で、無礼を働いた神がやってきたと知ったエレシュキガルは、私がその者を殺してやると言った後、従者にその者を招き入れ、冥界の飲食物を口にさせるよう命じました。
やがてエレシュキガルの庭へと到着したネルガルは、彼女に対して礼儀正しく挨拶をしました。それを受けた従者はエレシュキガルの命令通り、ネルガルへ様々に品物を差し出しますが、父神の忠告を受けていたネルガルは座らず食べず飲まず、足を洗うこともしませんでした。
ここまでは忠告をしっかり守っていたネルガルですが、エレシュキガルは客人がいながらも湯浴みへ行き、わざと身体を露わにしながら衣を着ます。その様子を見たネルガルは父の忠告もどこへやら。エレシュキガルが身体を露わにすると、「彼は男女のしぐさで心を●●●した。激しい思いを交わし、荒々しくベッドへ入った(『古代オリエント集(筑摩書房)』より。●は原典の欠損部分)」のです。
■エレシュキガルは恋い焦がれる
こうして7日もの間、ふたりはずっとベッドに横たわって男女のしぐさ、つまり交わり続けました。ですが7日目になると、ネルガルは何らかの方法で別れの伝言を残し、天界へと逃げ帰ってしまうのです。
ネルガルがいなくなったことに気が付いたエレシュキガルは青ざめ、涙を流しながら「ネルガル、精力に満ちたつれあい、彼の豊満さを心ゆくまで味わわないうちに、彼は私を捨てて行ってしまった」とひとり嘆くのです。
嘆くエレシュキガルを見た従者は、主人にネルガルを連れ戻してくる、と告げます。これを受けたエレシュキガルは、従者に地上の神々への伝言を持たせました。
「若い娘のときから、私は少女たちの遊びも、小さい女の子のはしゃぎあいも知りませんでした。あなたたちが私のところへよこしたネルガルは私と交わりました。彼は本当に私と寝たのです。ネルガルを私のところへよこしてください、私の連れ合いになるのです」
「もしネルガルを渡さないのならば、私は冥府のしきたりに乗っ取り、死者たちを地上へ昇らせ、生者を食べさせ、死者を生者よりも多くします」
一方で天界へ戻っていたネルガルは、エレシュキガルの追っ手から逃れるため、父神に異なる姿へと変身させて貰っていました。これによって一度目の使者の訪問と捜索からは逃れたものの、二度目の訪問によって発見され、使者に引かれて冥界へと連れ戻されるのです。
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2024.10.02 20:00心霊エレシュキガルの激しすぎる恋とセックスの神話が泣ける — メソポタミア冥界の女王の神話を徹底解説!(後編)のページです。シュメール神話、女神、たけしな竜美、イシュタル、エレシュキガル、冥界などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで