就寝中の夢には“明確な男女差”があった! 夢にまつわる6つのサイエンス的事実が面白すぎる!

 就寝中の幻覚とも言い換えられるのが我々が毎晩見ている夢だ。夢を見ている間、我々の脳と身体はどんな状態になっているのか? 科学系メディア「Science Alert」の記事では夢にまつわる素朴な疑問に答えている。


1. 夢の内容はなぜ奇妙で異様なのか

 夢の中でも日常生活で身近な場所や人物が登場するが、現実には考えられない変貌を遂げたり、自分を含めた知り合いが支離滅裂な言動をとったりと、奇妙で不可解な展開を見せることが多いのではないだろうか。こうした現象は睡眠中に脳の一部の記憶領域が遮断されているために起こっているということだ。

 夢を見るのは主に眼球が激しく動くレム睡眠中であるといわれて久しい(最近の研究ではノンレム睡眠中でもかなり夢をみていることが報告されている)。そしてこのレム睡眠中には海馬から発信される脳波が遮断されるという。これはつまり、レム睡眠中には海馬を経由している記憶領域にアクセスできないことになる。レム睡眠中でも日々の体験で刷り込まれた漠然とした全体的な記憶は残っているのだが、それぞれの詳細な記憶を取り戻すことはできないため、展開が飛躍してしまいがちになるということだ。

 また同じく、背外側前頭前皮質へのアクセスも睡眠中には遮断されるため、夢の中では論理的思考とロジカルな意思決定ができなくなる。


2. 印象的な夢はほとんどがレム睡眠中の夢

 最新の研究によってノンレム睡眠中でもかなり夢を見ていることが指摘されているのだが、ノンレム睡眠中の夢は変化に乏しく退屈であるため見たことを忘れる夢が多いという。それまで夢はレム睡眠中だけに見ると考えられてきたのもある意味で無理もない話だ。

 印象的な夢はやはりレム睡眠中に見る夢で、その際の特徴として挙げられる、眼球が激しく動いている状態が、ビジュアル面の変化に富んだ内容を“目撃”していることを示すと指摘している研究もある。つまりレム睡眠中の夢は脳が積極的に見ようとしている夢である可能性が高いのだ。

3. 夢を覚えている人は脳活動が活発である

 前述したようにレム睡眠時には記憶や思考をつかさどる一部の脳の領域へのアクセスが遮断されているので、基本的に夢は記憶に残りにくい性質がある。夢を見ることはほとんどないと自己申告する人もいるが、実際にはそんなことはなく、性分として夢を見る必要性を感じていないため見てもすぐに忘れてしまっているということだ。

 その意味で夢をよく見るという人は、夢を見るのか好きであったり楽しみであったりする傾向があるとも言えるのだが、見た夢をけっこうよく覚えている人は、短期記憶の保持に関わる脳活動が活発であることを指摘する研究もある。


4. 何のために夢を見るのか?
 
 我々はいったい何のために夢を見ているのか? 進化論からのアプローチでは、夢はサバイバルのための“イメージトレーニング”であると説明されている。我々は夢の中でさまざまなシナリオを想定して、状況の変化にどう対応したらよいのか、いわば予行演習を毎回行っていると考えられるのだ。追いかけられたり襲われたり、あるいは災害に直面したりする夢が多いのもこのためであるという。

 一方で夢は知的生産性やクリエイティビティに関わっているとする仮説もある。故ジョン・レノン氏は夢の中で楽曲のメロディを思いついていたといわれ、また19世紀のロシアの化学者、ドミトリ・メンデレーエフは夢の中ですべての元素が原子量の順に並んだ表を見て起床後にそれを思い出して書き写し、改良を加えて元素の周期律表を作成したという逸話も残されている。

 これまでの実験でレム睡眠を含む昼寝をとった後にクリエイティビティの度合いを測定するテストを受けると成績が良くなることが報告されている。

5. 夢の内容は何を意味しているのか?

 精神分析学の始祖、ジークムント・フロイトの『夢判断』はあまりにも有名だが、夢の内容からその本人の秘めた欲望や懸念を探るというアイディアは今日でも基本的には支持されている。

 これまでの数多くの研究が、夢は起きている間に体験したことをマッピングして検証作業を進めている状態であると指摘している。具体的に夢の中のどのような要素がその当人の期待や懸念を反映しているのかについては人それぞれということにはなるのだが、詳細に検分すれば有意義な発見がもたらされ、セラピー効果と“気づき”という一石二鳥の成果が得られることを英・スウォンジー大学のマーク・ブラグローブ教授は指摘している


6. 夢に男女の違いはあるのか?

 ある分析によれば、女性が見る夢の中には男性も女性も同じくらいの割合で登場するのだが、男性が見る夢に登場するのは大半が男性であるという。思い当たるフシがあるだろうか。

 カナダ・オタワ大学のクリスティナ・ウォン氏が数年前に発表したコンピュータプログラムは、夢の内容から性別を75%の確率で判断できるという興味深いものであったのだが、解析を通じて男女の典型的な夢の内容が浮かび上がってきている。それによれば男性の夢はほかの男性と闘っている内容が多く、一方で女性の夢はさまざまな人々と親交や友情を深めている内容が大半であるということだ。したがっておおむね夢には男女差があるといえそうだが、生物学的にというよりも文化的背景によるものである可能性が濃厚だ。

 まだまだ夢についての謎は多いが、サイエンスによって徐々にわかってきたのは夢は我々が考えている以上に重要で示唆に富んでいるということだ。今度気になる夢を見た時にはその内容を振り返って自分なりに分析してみてもよさそうだ。

参考:「Science Alert」、「Washington Post」、ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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