「創造性の終焉シナリオ」が進行中! 生成AI同士の学習ループが生む“地獄のマンネリ”と文化の死

インターネット上ではすでにAIが生成した文章、画像、映像などが溢れているが、今後も生成AIによるコンテンツ制作が盛んに続いていけば、文化の停滞とマンネリ化が避けられないのだと少なくない専門家が警告している――。
■生成AIによる文化停滞が進行中
我々人類が紀元前の時代から営々と手がけてきた文化芸術だが、この膨大な文化的蓄積を学習して創作行為を行う生成AIが活躍する時代を迎えている。
すでにネット上では普通に目にするようになっている生成AIによる創作物だけに、生成AIがAIコンテンツを学習するという動きも見えてきている。
2025年12月に「Patterns」に掲載された研究論文は、生成AIシステムが自律的に実行され、人間の介入なしに独自の出力を生成および解釈できるようになった場合に何が起こるかを示す内容である。
研究チームは、画像についてAIに説明文を生成させ、その説明文についての画像を別のAIに生成させるループを構築し、何度も何度も繰り返し実行させた。
その結果は、開始時のプロンプトがどれほど多様であったとしても、そしてシステムにどれほどのランダム性が許容されていたとしても、出力される画像はすぐに一般的で馴染みのある狭い表現範囲の画像に収束していったのである。驚くべきことにAIは開始時のプロンプトをすぐに忘れてしまったのだ。

研究チームはこの結果を「視覚的なエレベーターミュージック」と呼んでいる。エレベーター内のBGMのように心地よく洗練されているが、その意味はきわめて希薄なのだ。
研究チームはほかにもいくつか画像生成と説明文生成のループをAIに繰り返させたが、結果はいずれも成果物が均質化に向かう傾向があることが示された。現在のAIシステムはデフォルトでこのように動作している可能性も示唆されている。
無難だが味気ない画像表現と文書表現へ収束していくというこの陳腐化は、単に繰り返すことによって生じたのである。
この研究以前から生成AI懐疑論者は、生成AIが将来のAIシステムの学習対象となる合成コンテンツでウェブを氾濫させ、文化の停滞につながる可能性があると警告している。この再帰的なループは、時間の経過とともに多様性とイノベーションを狭めていくというのだ。
今回の研究結果は「AIによる文化停滞説」を支持するものであり、AIを介した文化がすでに、馴染みのあるもの、説明可能なもの、そして慣習的なものを優先する形でフィルタリングされていることの確認にもなっている。
米ラトガース大学コンピュータサイエンス教授のアハメド・エルガマル氏は豪メディア「The Conversation」に寄稿した記事で、生成AIに新規性を付与するために、規範から逸脱するインセンティブを持つAIシステムの設計が必要であると主張している。

エルガマル氏は統計的に平均的な出力への収束に抵抗するようなシステムを設計する必要があり、逸脱に報酬を与えることで、一般的ではなく主流派でもない表現形式をサポートできるということだ。そしてこうした介入がなければ、生成AIは平凡で刺激のないコンテンツばかりを生み出し続けることになる。
あるいはこの役割を人間が担ってもよいのだろう。人間の創造性はマンネリを嫌い再起力に富んでおり、ファッションやサブカルチャーはもちろん、偉大な芸術家は常に均質化と陳腐化を打破する創造性を発揮して名作を世に放ってきた。生成AIが人間の仕事を奪う側面がある一方、皮肉にも人間の持つ新規的で新奇的な創造性に火を着けることになるとすれば案外面白いことになりそうだ。
参考:「The Conversation」ほか
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2024.10.02 20:00心霊「創造性の終焉シナリオ」が進行中! 生成AI同士の学習ループが生む“地獄のマンネリ”と文化の死のページです。アート、芸術、人工知能、AI、創作、コンテンツなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

