孫がDIYで祖父を“ドライアイス漬け”に! 狂気の人体冷凍実験を経て『シャイニング』のホテルに辿り着いた遺体の数奇な運命

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画像は「Popular Mechanics」より

 不老不死への渇望は、時に人を狂気じみた行動へと駆り立てる。

 アメリカ・コロラド州の小さな町で、30年もの間、ある遺体が「物置小屋」の中で凍りついていたのをご存じだろうか。

 最新鋭の研究施設ではない。ホームセンターで買えるような小屋の中で、ドライアイス漬けにされていたのだ。

 通称「冷凍おじいちゃん(Grandpa Bredo)」。

 SF映画の脚本でも却下されそうなこの実話は、ある孫の執念と、数々の偶然が生んだ「世界で最も長く続いたアマチュア人体冷凍実験」の記録である。

平凡な公園局長が「冷凍実験台」になるまで

 ブレド・モルストル(1900-1989)。ノルウェーで公園局長を務め、スキーと釣りを愛した彼は、ごく平凡な人生を送って89歳で亡くなった。

 しかし、彼の「死後」は平凡とは程遠かった。

 事の発端は、彼の孫であるトリグヴェ・バウゲだ。サバイバリズムやクローン術、そして人体冷凍保存(クライオニクス)に傾倒していたこの孫は、祖父の遺体をアメリカへ運び、なんとコロラド州ネダーランドにある自宅の物置小屋(Tuff shed)に安置したのである。

 本来、人体冷凍には液体窒素や専門的な設備が必要だ。しかし、孫はDIY精神を発揮し、ドライアイスで祖父を冷やし続けた。月額約1000ドルをかけ、2週間ごとにドライアイスを補充する。

 こうして、おじいちゃんは「孫の不死化実験のモルモット」として、氷の眠りにつくことになった。

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イメージ画像 Created with AI image generation

科学的に見れば「細胞はボロボロ」?

 このDIY冷凍保存が科学的に成功しているかと言えば、答えは「NO」に近い。

 ノーベル化学賞受賞者の生物学者、ベンカトラマン・ラマクリシュナン氏は「死んだ瞬間から細胞は崩壊を始める」と指摘する。さらに、水分は凍ると膨張するため、適切な処理(不凍液への置換など)をしていない遺体は、細胞組織が破壊されてしまうのだ。

 プロの冷凍保存施設では、遺体の血液を特殊な保存液に入れ替えるが、ブレドおじいちゃんにはそれが施されていない。しかも、ドライアイスの温度(約-79℃)は、液体窒素(-196℃)に比べれば「温かい」。

 おそらく、おじいちゃんの体は細胞レベルでズタズタになっている可能性が高い。それでも、外見だけは腐敗せずに保たれていたというから驚きだ。

「シャイニング」のホテルへ引っ越し

 この奇妙な物語には続きがある。

 孫のトリグヴェがビザの問題で強制送還された後、町は遺体を排除しようとしたが、すったもんだの末に「条例ができる前からいたからOK」という、まさかの「おじいちゃん特権(Grandfather clause)」で滞在が認められた。

 これを受けて、町では「冷凍死体祭り(Frozen Dead Guy Days)」なる奇祭まで開催されるようになったのだから、アメリカ人のメンタルは強い。

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By rickpawl – originally posted to Flickr as don’t ask – frozen dead guy days, CC BY 2.0, Link

そして2023年、ついに転機が訪れる。

 スティーヴン・キングのホラー小説『シャイニング』のモデルとなった「スタンリー・ホテル」のオーナーが、この祭りとおじいちゃんを引き取ることを決めたのだ。

「幽霊ホテル」と「冷凍死体」。これ以上ないオカルトな組み合わせである。

 搬送作戦は元ネイビーシールズ(特殊部隊)によって行われ、おじいちゃんは現在、同ホテル敷地内の「国際クライオニクス博物館」にて、プロ仕様の液体窒素タンクの中で眠っている。

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画像は「The Stanley Hotel」より

次は「クローン」で復活?

 専門家の見解では、ブレドおじいちゃんが生き返る可能性は限りなく低い。脳も体も損傷が激しいだろう。

 だが、孫のトリグヴェはすでに「プランB」に移行しているらしい。それは「クローン技術による復活」だ。

 30年間、物置でドライアイスに埋もれ、祭りの主役になり、最後はホラーホテルへ。

 死んでからの方が波乱万丈な人生(?)を送っているブレドおじいちゃん。もし彼が目覚めたら、真っ先に孫を怒鳴りつけるかもしれない。

参考:Popular Mechanics、ほか

TOCANA編集部

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