東京の繁華街で、スプレーやステッカーで同じような形式で至る所に描かれたり貼られている落書き、それらはタギング(Tagging)と呼ばれている。
そう呼ぶ事も知らないまま、なんだか惹かれて、2007年頃から写真を撮り始めた僕。
“タギングの発生・消滅”は常に流動的で、意味は不明確だ。見る側が一方的に解釈するしかないが、僕にとっては2つの面白さがある。まず、それぞれに不思議な存在感があること。そして、誰が指示したわけでもなく、誰かが最初にタグをつけた瞬間から、渾然一体のインスタレーション空間が生まれるところだ。
「誰かがタグを付ける、増える、風化する、剥がされる、その上にまた誰かが貼る…」共同作業のもと、空間は常にバージョンUPされてゆく。
学生の頃から実験的な映像や音響、インスタレーション作品を作っていた僕だから、街中を舞台にするタギングは魅力的なアートに見えたのかもしれない・・・。
今回は、そんなタギングが生み出した印象的な風景を紹介したい。皆さんもタギングを見つけたら、立ち止まって、空間を感じてみてほしい。
大量に貼られた名古屋のハードコアバンド『Black Ganion』のステッカー。ドアだけでなく、手前の自転車も含めて一つの風景になっている。2010年頃にこの手法でいろんな所に貼られていた。
はがされたステッカーの上に再び参上したBNE。BNEは、僕がタギングを撮るきっかけにもなった。どこでも見つかる。そして日本だけじゃなく、世界中で見る事ができる。ニューヨークでも見つけて感動した。現在は困窮地に水を供給するNPOを立ち上げたことでも知られている。
新宿に行けば見ることができる不思議なタギング。通常血はなく、流れているように誰かが後から色をつけたようだ。眼も印象的だが、周りを覆う文字? だけが大きく貼られているのも見た事がある。
以前は、新宿南口はタギングが本当に多かった。最近は奇麗になっているギャップ前の広場のエレベータ。麻生元首相、お寺と顔がくっついたキャラがパイプをふかしているタギングなど、いろいろ集合している。
これはステッカーではなくスプレーで描かれたもの。以前ニューヨークに行った際に、路上に駐車された車にペイントされた光景をたくさん見たが、東京ではほとんど見た事がない。新宿の路上に置かれた赤い屋台とスプレーの文字がやたらと目立っていい味を出している。
震災後の特徴。笹塚の陸橋の下で見つけたステンシルアート。2011年の震災後は、タギングにもメッセージが込められたものが目立ち始める。本来意味が不明確な多いタギングの世界でも、こうやってメッセージを発信する人たちが出てきている。
以上、6枚の写真を紹介したが、撮り溜めた写真はまだまだたくさんある。次回はカテゴライズしたタギングをまとめつつ・・・なので、期待してて!
■Area45(えりあよんじゅうご)
タギング収集家、音響・フィールドレコーディング作家。普段は『動きが心を作る』をテーマに活動する身体と心のトレーナー。flickr→ http://www.flickr.com/photos/area45s/sets/72157625066493218/
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