地球から“普通の季節”が消滅し始めた… 科学者が鳴らす警鐘、「不整脈季節」到来か

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イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI)

 この夏も厳しい暑さが続いているが、誰しも一度は浮かぶ疑問は「昔はこんなに暑かったのか?」である――。新たな研究によると、現在地球にはこれまでにはなかった新たな季節が出現しつつあるという。

■前代未聞の「不整脈季節」到来か?

 全国的に暑い夏を迎えている。つい最近までエアコンが必要なかった北海道でも、一部地域では連日猛暑に見舞われるという異常事態を迎えている。

 新たな研究によると我々の活動は地球を急速に変容させており、かつては確実だった季節のパターンは、もはや馴染みのないものに変わりつつあるという。

 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス&ポリティカル・サイエンスの研究チームが今年6月に「Progress in Environmental Geography」で発表した研究では、人間の活動によって新たな季節が出現しつつあり、同時にいくつかの季節が完全に消滅し、生態系や文化に深刻な影響を与えていることが報告されている。

 西洋音楽においてリズムの規則的な流れを変えたり、中断したりすることをシンコペーション(syncopation)と呼ぶが、まさに今、シンコペーションされた季節が出現しており、たとえばアルプス地方の雪が少なくなって伝統的なウィンタースポーツシーズンが消滅しつつあるという。タイ北部では降雨パターンが変化し、乾季が長くなって火災や山火事が発生しやすくなり、雨季は短くなるものの強度が増し、農家はこれまでにない不安に襲われている。

 またイングランド北部においては海鳥の繁殖が減少しており、渡り鳥の移動行動の劇的な変化が見られるようになっている。

 こうした特定の渡り鳥の飛来や紅葉といった象徴的な季節イベントの時期は、ますます予測不可能になっている。研究チームは心臓病学から借用した概念である「不整脈季節」という言葉を作り出し、春や繁殖期の早まり、夏や生育期の長短、冬や冬眠期の短さといった異常なリズムを例えている。

 季節のパターンの変化により、植物と動物の相互依存的なライフサイクルが同期しなくなり、経済的、社会的、文化的にそれらに依存しているコミュニティが混乱する。

 異常気象は我々と環境との関係性を再考させるきっかけにもなる。

 東南アジアの北部および赤道付近の国々で6月から10月頃に数週間にわたって焼畑によって空が煙で覆われる「ヘイズシーズン(haze season)」があるが、気候変動により人々の意識が高まり、予報精度の向上、家庭への空気清浄機の設置、そして公衆衛生に関する取り組みの確立につながっている。そして焼畑が本当に必要なのかを考えさせる契機にもなり得るのだろう。

 季節は単なる時間の区切りではなく、我々と自然を繋ぐものであり、変化する季節のリズムとの調和を見つけることは、持続可能な未来を築くために不可欠である。

 新たな季節の中で我々はどう生きていけばよいのか。まだしばらく続く酷暑の日々は、我々全員に突きつけられた地球からの“問い”ということになるのかもしれない。

参考:「Live Science」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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