“捜索済みの場所”から死体が現れる… 音もなく人を飲み込み、常識を狂わせる魔の領域「ペコス・トライアングル」

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 米ニューメキシコ州北部には、常識が砂に吸われる水のように消えてしまう不可解な地域が存在する。一見すると低い山々、乾燥した台地、風に歪んだ松の木々、そして圧倒的なまでに澄み切った空が広がるだけの場所だ。しかし、この土地を知る者たちは口を揃える。「何かがおかしい」と。

 ペコス、タオス、サンタフェを結ぶこの一帯は、何十年もの間、独自の調査員やハイカー、地元の警察、そして先住民族から「危険地帯」としてマークされている。それは野生動物や厳しい気候といったありふれた理由ではない。何の脈絡もなく人々が行方をくらまし、徹底的に捜索されたはずの場所から遺体が忽然と現れ、思考さえも吸収してしまうような重たい沈黙が支配するからだ。人々はこの地を「ペコス・トライアングル」と呼ぶ。

 19世紀の記録にはすでに、道からわずか数百メートルの場所で、外傷もなく岩にもたれかかったまま亡くなっている旅行者の記述がある。まるで休息のために座り、そのまま二度と立ち上がらなかったかのように。

不可解な失踪と奇妙な共通点

 20世紀に入り、登山客や観光客が増えるにつれて証言は急増した。多くの人が口にするのは、風景が突然変貌したかのような感覚や、鳥の声や風の音、自分の足音さえも消え失せる完全な静寂だ。熟練のハイカーでさえ、何時間も直進したはずが元の場所に戻っていたという体験談を残している。

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 ここで起きる失踪事件には、暴力的な痕跡や助けを求める叫び声がほとんどない。人々はただ、ふっといなくなるのだ。2000年代には、サングレ・デ・クリスト山脈近くで経験豊富なハンターが、晴天の下、短時間の狩猟に出たまま消息を絶った。大規模な捜索が行われたが何も見つからず、数年経っても痕跡は発見されなかった。

 メル・ナデル(2009年)、エマ・トレスプ(1998年)、そして他のハイカーやハンターのケース。彼らのケースに共通するのは、突然の消失、痕跡の途絶、そして論理的な生存行動の欠如だ。特に1998年のケースでは、車が悪路で立ち往生した後、歩いて助けを求めに出たはずが、一切の痕跡が残されていなかった。

捜索済みの場所から現れる遺体

 失踪以上に不気味なのが、遺体の再出現だ。地元の猟師が見つけたある男性の遺体は、木にもたれて膝に手を置き、ただ地平線を見つめていたという。パニックの痕跡はなく、ただ何かを待っているかのようだった。しかし検死の結果、靴は無傷であるにもかかわらず、足の内部には長時間地面を歩き続けたような深刻な損傷が見つかった。

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 生還した人々が語る感覚も異様だ。「景色の中にいるのに、現実感がない」「恐怖を感じるべき状況なのに、感情が湧かない」といった離人感や、時間の歪みを訴える者が後を絶たない。数分の散歩のつもりが数時間経過していたり、電子機器が充電されているのに動かなかったり、コンパスが定まらないといった現象が頻繁に報告されている。

光と影、そして先住民の伝承

 夜になると、ペコス・トライアングルは別の顔を見せる。1950年代以降、静かに移動する謎の発光体や、幾何学的な形状をしたUFOのような物体の目撃情報が絶えない。これらは人間を観察しているかのように反応し、時には不自然な動きを見せるという。

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 古くからこの地に住むプエブロ族やナバホ族の伝承には、「道が重なり合う場所」についての記述がある。生者と死者が交差し、旅人が誤った道へと「呼ばれる」場所だというのだ。それは悪意や罰ではなく、この土地が持つ、人間には理解できない法則のようなものだ。

 科学者たちは地磁気の異常や高地による神経への影響などを挙げるが、すべての事象を説明することはできていない。なぜ何度も捜索した場所から遺体が出るのか、なぜ熟練者が基本的なサバイバル行動をとれないのか。この土地は警告も脅迫もしない。ただ静かに、踏み入った者を取り込むだけだ。

 ペコス・トライアングルにおける最大の恐怖は、そこに一切の悪意が見えないこと、そして失踪がこの場所にとって「正常な機能」であるかのように感じられる点にあるのかもしれない。

参考:Mysterium Incognita、ほか

TOCANA編集部

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