バナナが食卓から消える日…迫りくる危機を乗り越えられるか!?
皆さんはバナナがお好きだろうか。栄養が豊富で値段も手頃なことから、私達の食生活には欠かせないものになっている。日本にバナナがやって来たのは意外にも最近で、1903年といわれ1963年に輸入が自由化されるまでは高級食品とされていたが、今日では様々なレシピで私達を楽しませてくれている。ところがそんな馴染み深いバナナに今、危機が迫っているというのだ。一体何が起こっているのかが5月13日付けの「POPULAR SCIENCE」に掲載されている。
「Agronews」の記事より
■バナナ農園を襲う“パナマ病”の猛威
今から数週間前、南アフリカのケープタウンにて、ある会議が開かれた。議題は現在モザンビーク近隣で、バナナ農園のバナナを襲っている菌をいかに食い止めるかであった。原因は20世紀中頃にも世界で蔓延したいわゆる「パナマ病」だ。専門家の間では「Tropical Race 4(または Foc-TR4)」と呼ばれるパナマ病は今現在もあちこちで拡大中で、近年ではアジアやオーストラリアでも被害が確認されている。
そして会議のたった数日後に新たな調査によって、モザンビークの農園でさらに深刻な被害が報告されたのだ。研究者たちは先の会議で、病原菌に侵されたのは僅かな区画だと仮定していたようだが、その後の報告で農園全体がパナマ病に侵されておりその範囲は約50ヘクタール(東京ディズニーランド1個分)から約1,400ヘクタール(東京ディズニーランド31個分)にも及ぶといわれ、このままでは7億ものバナナの苗木が立ち枯れや腐ってしまう運命にあるといわれている。
現在アフリカのバナナ農園は年間約80億円を得ているといわれているが、それを含めて世界中でバナナはおよそ4億人が栄養を確保できる貴重な食料としてのニーズがある。特にルワンダやウガンダのような貧しいといわれる国でのバナナの消費量は、年間1人当たり227kgだ。これは一般的なアメリカ人の約20倍とされているのだから、もしもバナナが消えてしまったら間違いなく飢えが一層深刻な問題になるのは目に見えているであろう。
そこで疑問なのはこの病気がどうやってモザンビークにたどり着いたのかである。関係者によれば、バナナ農園を設立する際にフィリピンから派遣された労働者が持ち込んだという説。フィリピンは1990年代からやはりパナマ病に悩まされているが、この毒性の強い菌が労働者の靴や他の所持品などに土と一緒に付着してモザンビークへやって来たのではといわれている。
もうひとつは元々土壌に潜んでいたのではというもの。マレーシアで1980年代にバナナの栽培を始めた際に同様の症状が出たようだ。そしてこのバナナ農園では施設内で排水設備を共用しているが、菌が潜んでいるとされる土壌に汚染された水があちこちの区画へ移されれば菌類も水と共に運ばれていくだろうという説である。
更に考えられる原因としては農園に出入りする人である。毎日およそ2,500人以上が100台以上の車に乗って農園を出入りするのだ。そのうちの僅か数人に汚染された土が付着していたとしても、強力なパナマ病には広大な農園全てを菌で多い尽くすのにじゅうぶんなのであろう。
この強力なパナマ病はバナナ産業を長年に渡り脅かし続けている。近年は中東でも確認されているほか、ヨルダンとオマーンに関しては既に苗木に被害が出ている。
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