“食えるものなら何でも食う”驚怖の侵略生物が日本を襲う!! 「アルゼンチンアリ」が生態系を破壊、経済に大打撃!?

 本や雑誌、インターネット、そしてSNSによって膨大に情報が飛び交う現代社会において、その情報の真偽をチェックする判断力は重要だ。しかし、ウソかホントかばかり気にしていては「ケツの穴が小さいヤツだ」「細けえことはいいんだよ」などの誹りは免れない。むしろ、真実よりも甘く、大事なウソを楽しめてこそ、余裕がある大人として認められるのではないだろうか。本連載「教養としての神秘主義」では、そんな大人のためのミステリー情報をお伝えしていく――。

教養としての神秘主義 第11回
驚怖の侵略生物、アルゼンチンアリ

 

 この春、東京大学を中心とする研究グループが『アルゼンチンアリ: 史上最強の侵略的外来種』(東京大学出版会)という本を出している。なにやら物々しいタイトルだが、これが本邦初のアルゼンチンアリ研究書となるらしい。しかし「アルゼンチンアリ」が「史上最強」と言ったところで、ピンとくる一般人は少ないだろう。筆者も本書を手に取るまで、このアリについてまったく知らなかったが、読み進めるうちに戦慄が走った。


■アルゼンチンアリ、驚怖の生態!

 その名の通りアルゼンチン原産、体長は3mm足らずで、強大なキバや毒針を持つわけでもないこのアルゼンチンアリの、一体どこが恐ろしいのか。それは彼らの珍しい生態に由来する。

・女王の数がスゴい!
 アリやハチの社会には、卵を生む「女王」と、それらと交尾する「オス」、そして餌を獲ってくる「ワーカー」というカースト制度が存在する。想像しやすいのは、ひとつの巣の中に一匹の女王がいる様子だろう。しかしアルゼンチンアリは、1つの巣のなかに1000匹を超す女王がいることもあるという。それぞれの女王が1日に20~30個の卵を生むのだから、恐るべき繁殖力だ。

・徒党を組んで共闘!
 恐ろしいのはそれだけではない。普通のアリの生態なら、巣が違うアリ同士が出会うと、たとえ同種のアリであっても縄張り争いなどの闘争が起こる。アリは自分の生まれた巣以外には戻れないため、このような闘争によって同種のアリのなかでも増殖に抑制がかかっているのだ。しかし、アルゼンチンアリはこうした「巣が違うアリに対する排他性」が弱く、違う巣のアリ同士が「スーパーコロニー」という大きな組織を作って共闘していく。要するに、巣と巣が出会うとくっ付いて大きな巣になってしまうのだ。

 このように、大量の女王が大量の「ワーカー」を生み出す圧倒的な人海戦術と、「スーパーコロニー」の力によって、アルゼンチンアリは侵入した土地の在来アリを駆逐していくのである。

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