“食えるものなら何でも食う”驚怖の侵略生物が日本を襲う!! 「アルゼンチンアリ」が生態系を破壊、経済に大打撃!?

■アルゼンチンアリ侵入のインパクト

 在来のアリがいなくなり、アルゼンチンアリに置き換わったところで、一体なんの影響があるのか、と疑問に思う人もいるだろう。アルゼンチンアリの侵入を許すと、その土地の生態系は大きく乱れるといわれているのだ。

 植物のなかには特定のアリに種子や花粉を運んでもらうことで種を保存するものがある。しかし、植物の役に立つアリがアルゼンチンアリに駆逐されれば、当然その植物の数は増えない。またアルゼンチンアリは、鳥のヒナやネズミを襲うこともあるらしく、影響は脊椎動物にまで及ぶのだ。


■人間に与える被害も甚大!

 さて、こうした影響が巡り巡って人間にも影響を与える……という気の遠くなる話ではない。アルゼンチンアリは、アブラムシやカイガラムシが出す甘い汁を好むため、農作物に悪影響を与えるこうした害虫と共生する。大量のアルゼンチンアリが害虫たちを守れば、それらの数も当然増えていく。そして農作物の生育が阻害され、収穫量が減少すれば、経済的な影響は免れない。

 さらにアルゼンチンアリは、食べられるものはなんでも食べる、という食性も持つため、人家の近くに巣を作れば、どこからともなく餌を求めて住宅へと侵入し、住民を困らせる。人間にとって直接的な脅威となる存在なのだ。


■すでに日本でも被害が!!

 現在、こんなアルゼンチンアリが、世界中に生息域を広げ始めているのだ。彼らは、船で運搬される荷物に紛れ込んで侵入してくる。よって港が最初の侵入拠点となり、さらに港から荷物を運ぶトラックなどによって、内陸部にも生息域を広げていく。その猛威は、すでに日本でも広がりを見せ始めているという。

 1993年、広島で発見されたのを皮切りに、大阪や愛知、神奈川や東京など、大都市でも確認されているのだから、予断を許さない状況だと言えよう。本書で紹介されているアルゼンチンアリ侵入地域の住民の声を以下に引用しよう。

「アリが家の中までたくさん入ってくるので、その対応に毎日苦慮している」
「飼い犬の毛の中にアリが入り込み、夜通し犬が鳴き続けたことがある」
「毎日アリのことを考えて暮らしているような状態である」
「寝ている間に布団に侵入して眠れない」

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