ノルウェーの村に出現した光球「ヘスダーレンの光」はUFOか、巨大天然電池か? 謎の現象に科学者が迫る!!
もし夜空にふらふらと光の球が浮かんでいるのが見えたら、思わずカメラで撮影したくなりませんか? それが何者なのかはわからなくても、怪しいものを見ると知的好奇心が刺激されますよね。そう、奇怪な現象は人々を興奮させ悩ませます、それが決まったところで頻発していれば尚更です。
実際に、ノルウェー中央部のヘスダーレンという小さな村の谷に現れる奇妙な光の球の存在が、科学者たちを何年も悩ませています。「ヘスダーレンの光」として知られるその現象は、車ほどの大きさの光球になることもあり、UFO研究家の心を奪いました。ただ、謎の現象を見ると科学者はその実態を解明したくなるものです。先月「Daily Mail」では、その正体に迫る科学者たちの様子が報じられました。
■科学者が注目する「ヘスダーレンの光」
ノルウェーのエストフォル大学で情報工学を研究しているアーリン・ストランド准教授は、この現象が頻出して報道陣や科学者の関心を集めた1982年の頃から、その仕組みを解き明かそうと調査しています。彼はプロジェクト「ヘスダーレン」を立ち上げ、どのようにこの光が発生するのか解明すべく、研究者を結集させました。
国際的な専門家チームが大きさや形、速さをレーダーによって調べ、また、その光球にどんな物質が含まれているのか光のスペクトルの分析を行い、現地の土壌に存在する鉄やケイ素があるとわかりました。さらに、光球は音を出さず、低温で地上に何も痕跡を残さないながらも、土壌を滅菌する性質を持つことが判明します。そして、研究者らは光球が発生する直前に現場の磁場が少し変動していることを発見しましたが、そのような磁場の変動を招く地震の活動状況などを調べると、特に変わったところがありませんでした。
この不思議な光球の正体は一体何なのか。現在のところ研究者らは、イオン化したガスが作った「プラズマ」が原因だと考えています。プラズマとは物質の状態の一つで、個体・液体・気体に続く第4の状態とも呼ばれるものです。気体を構成する分子が、放電や高熱などを受けることでイオン化して発生するもので、身近なところでは蛍光灯やプラズマテレビに存在しており、炎もプラズマの一種です。
プラズマを作るには非常に高い温度か巨大なエネルギーが必要なのですが、ヘスダーレンの光がプラズマだとすれば、そのエネルギーはどこから来たのでしょうか。エストフォル大学で電気工学を研究しているブヨーン・ハウゲ准教授は、ヘスダーレンの谷の形、気候、地質が大量の電気の蓄積を可能にし、その静電気が強風で吹き飛ばされたと考えています。谷自体が大量の電気を蓄えるなんて想像もできませんが、実は一帯が天然の「電池」となっていると考える研究も進んでいます。
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