65号棟(旧棟)の2階部分にある部屋に、子どもが使っていた玩具が放置されていた
――たしかに、この写真集は、単に「廃墟」を撮影したというよりも「生と死」のようなものを表現しているような気がします。
酒井 軍艦島に残されている建築物は、長い間人が住まなくなったことによって完全に“死んでいる”状態でした。建築物というのは、人が一緒にいないと、どんどん傷んでいくものですよね。これらの建築物は、歴史的に見ても貴重なものです。そのような意味においても最大のリスペクトをしながら撮影していたのですが、途中から『声』をかけられるようになったんです。女の人のものでしたけど…