【日本怪事件】帰宅した夫の眼前に広がる戦慄の光景… 謎に包まれた「名古屋妊婦切り裂き殺人事件」

 だが、疑いはすぐに晴れた。事件当日の3時頃まで、美律子は訪ねてきた友人と一緒におり、犯行はその後。昌孝が会社で仕事に勤しんでいる時間帯のことだった。

 捜査は難航を極めた。カッターのような薄い刃物で切られたことは分かったが、凶器も指紋も残されていない。“ためらい傷”をつけず、絞殺してから10数分で胎児を取り出すのは、きわめて難しい。そのため当初は、医師か医学生の犯行かとも思われたが、帝王切開の方法とは切り方が逆で、すぐさま否定された。

 動機も不明だ。専門家も、「妊婦の腹を割いて胎児を取り出してみたいという、異常な願望の持ち主」といった程度の推測しかできなかった。受話器やミッキーマウスのキーホルダーの意味も、分からなかった。

 不審者の目撃情報もあったが、捜査はそれ以上の展開を見せず、2003年3月18日に公訴時効が成立。事件は迷宮入りした。


■深笛義也(ふかぶえ・よしなり)
1959年東京生まれ。横浜市内で育つ。18歳から29歳まで革命運動に明け暮れ、30代でライターになる。書籍には『エロか? 革命か? それが問題だ!』『女性死刑囚』『労働貴族』(すべて鹿砦社)がある。ほか、著書はコチラ

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1959年東京生まれ。横浜市内で育つ。18歳から29歳まで革命運動に明け暮れ、30代でライターになる。書籍には『エロか?革命か?それが問題だ!』『女性死刑囚』『労働貴族』(すべて鹿砦社)、『罠: 埼玉愛犬家殺人事件は日本犯罪史上最大級の大量殺人だった』(サイゾー)がある。ほか、著書はコチラ
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