軍艦任務から日本軍捕虜キャンプを生き延びた軍用犬“ジュディ”の感動ストーリー
■無人島で湧き水を掘り当てる
燃え上がる軍艦を放棄して救命ボートに乗った全乗員と水兵は、数時間後にシンガポール沖の小さな無人島に辿り着いた。しかし、そこで問題が起きた。数日分の食糧は運び出したが、水を運び出す時間が無かったのだ。
島を調べ回った結果、どうやらこの無人島には湧き水はおろか小さな水たまりさえない事実が判明した。しかしジュディは海岸の特定の場所に執着し、辺りを嗅ぎ回っていた。飲料水に事欠く中、それでも水兵によって食事の準備が整えられた時、ジュディは、海岸のある地点を前足で人々に示すように叩き、その後掘りはじめたのだった。
人々が見守る中、掘りはじめて暫くするとゴボゴボいう音が聞こえ、水が湧き出したのだ。しかも、湧き出してきた水は海水ではない真水であった。この発見に人々は大喜びするとともに、ジュディのかけがえのなさに改めて気づかされたのだ。
画像は「Daily Mail」より
乗客と乗組員は最終的にオランダの船に拾われ、スマトラへ連れて行かれたのだが、不運なことにその時のスマトラは日本軍の占領下にあった。こうして自動的に日本軍の捕虜となった一行だったが、女性と子どもたちは異なる場所に向かわされ、残った者は労働者として捕虜収容所で囚われの身となった。こうしてジュディは“捕虜犬”という、(誇らしいかどうかは疑問の)名誉を得た初めての犬となった。
■捕虜収容所でもジュディの活躍は続く
艦のマスコットであったジュディは、捕虜収容所「キャンプ・グレンゴーア」で1,000人の捕虜の心の支えとなった。しかし暫くすると、ジュディの食糧はキャンプの靴屋が投げてくれる獣の皮の余りだけとなってしまい、急激に痩せ細り、毛皮の上からでもあばら骨が浮いて見えるようになったという。
キャンプの最悪の食料事情で、捕虜たちもひどく飢えに苦しんでいた。そして数週間が過ぎ、生き延びるために食料を盗むことを決意した捕虜たちが、米の袋を盗むための大胆な計画を実行した。そして首尾よく盗んだ戦利品は、ベッドのマットレスに巻き込んで巧妙に隠された。
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